樹海での訓練
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第一章
樹海での訓練
富士の樹海には入るな、よく言われることだ。
だが今陸上自衛隊のその部隊は入っている、ヘルメットに迷彩服そして必要なものは全て携帯し部隊として持ったうえでだ。
そのうえで入って訓練をしていた、今は中で野営用のテントを設置しているが。
そうしつつだ、部隊に入ったばかりの二階堂美樹大柄で引き締まった体格と顔立ちをしている太い海苔の様な眉が目立つ彼は言った。
「樹海に入るとは思いませんでした」
「普通入るなって言われるからな」
士長の彼に二等陸曹の大門正樹が応えた、一七〇位の背でがっしりした体格で丸顔の彫のある顔の男だ。二人共黒髪を短くしている。
「ここは」
「はい、ですから」
「自衛隊じゃ入ることもあるんだ」
大門は二階堂に話した。
「訓練でな」
「迷って出られない場所でも」
「いや、そう言うがな」
「こうしてですね」
「訓練してな」
その樹海の中でというのだ。
「訓練が終わったらな」
「出てですね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「帰るからな」
「基地に」
「ああ、自衛隊だとそうなんだ」
「自衛隊だとですね」
「自衛隊に入るとな」
そうすると、というのだ。
「自衛隊だけでってことあるだろ」
「自衛隊にしかないものや出来ないことか」
「それでここでの訓練もな」
「自衛隊ならではですね」
「だから入っているんだ」
「そうですか」
「じゃあ訓練していくぞ」
大門は二階堂にあらためて告げた。
「これまでも訓練だったけれどな」
「これからもですね」
「訓練だからな、基地に戻るまでが訓練だ」
「最後の最後まで気を抜かない」
「いいな」
「そうしていきます」
二階堂は大門の言葉に頷いた、そして樹海の中での訓練を続けた。銃は持たなかったふが行進や野営のそれを行い。
樹海の中にいた、だがその中で言われた。
「言われた場所以外はな」
「入らないことですね」
「地図に添って動いてるんだ」
大門は二階堂に話した。
「俺達もな」
「迷わない様にですね」
「迷ったらな」
それこそというのだ。
「わかるだろ」
「樹海ですか」
「ここは名所だしな」
「自殺のですね」
「ホトケさん見付けたら連絡しろ」
「こっちじゃ扱えないですね」
「基本警察の仕事だしな」
だからだというのだ。
「連絡してな」
「来てもらいますね」
「生に入ったけれどな」
それででもというのだ。
「勝手なことはするな」
「迷うので」
「迷うのが訓練じゃないんだ」
絶対にというのだ。
「いいな」
「そこはですね」
「命令を聞くのも仕事だろ」
「自衛隊は」
「そうした組織だからな」
「はい、変な場所には入りません」
「わかっている場所に入るんだ、わかっていない場所に入るのはな」
それはというと。
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