大食い夫の末路
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第一章
大食い夫の末路
とあるプロ野球のチームの本拠地球場で経理をしている森本克幸長方形の顔で縮れた短い黒髪に細い小さな目と四角い感じの大きな鼻を持つ背の高い痩せた彼の趣味は食事である。
兎角何でも多く食べる、それが彼の趣味であり。
「ギャンブルと科女の人とかね」
「お金のかかる趣味はないわね」
「興味ないよ」
妻で同じ球場のラーメン屋でラーメンを作っている亜美小柄ですっきりした顎と明るい感じの目で黒髪を後ろで束ねた均整の取れたスタイルの彼女に家で話した。
「あとは読書とジム通いだね」
「そうしたのが趣味で」
「もうお腹一杯食べるのが」
それがというのだ。
「一番の趣味だよ」
「あなた好き嫌いないしね」
「何でも食べられるから」
「余計にいいわね」
「もういつもお腹一杯食べられたら」
家で大盛のカツ丼を食べつつ言った。
「それでだよ」
「満足ね」
「何も言うことはないよ」
こう言って食べる、兎角だ。
克幸は食べることを満喫していた、三食彼の一番の趣味を欠かすことはなかった。彼は常に満腹するまで食べていた。
若い時からそうだった、そして四十代になると。
「ジムに通っていても」
「お腹出て来たわね」
「うん、食べる量は変わらなくて」
妻にその出て来た腹を見つつ話した。
「食べる料理もね」
「同じよね」
「何でも食べて」
そうであってというのだ。
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