百円の重み
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第二章
「百円よりどれだけ高いか安いか」
「それを見て買っていますね」
「そうしてるよ」
後輩に真面目な顔で話した。
「他に買う場所がない以外は高めのコンビニは避けて」
「スーパーで、ですね」
「百円を基準にして買っていくよ」
「これからも」
「ああ、これからもな」
今だけでなくとだ、後輩に真面目な顔で話した。実際に彼はそうしてものを買っていた。それは家でも同じで。
家に帰ると貯金箱に百円玉を入れた、そうしてちゃりんと成った音を聞いて言った。
「今日も一個」
「ええ、私も入れたわ」
妻で郵便局んをしている沙也が応えた、茶色のショートヘアで大きな黒い目と丸い顔に小さな唇と細い眉を持っている。背は一六〇位で胸と腰は大きい。
「一個ね」
「そうしないとな」
「いざという時困るわね」
「ああ、そうだよな」
「特に今はね」
妻は夫に夕食の用意をしつつ話した。
「戦争が起こってからね」
「ウクライナでな」
「物価が上がってるから」
「小麦に石油にガスってな」
「食べものにも電気にも影響して」
「物価も上がってな」
「大変でしょ、こうした時こそね」
まさにというのだ。
「しっかりしないといけないから」
「節約しないとな」
「今は辛いけれど」
「辛い時は絶対に終わる」
「我慢する時は我慢することよ」
「だから意識して節約しないとな」
「二人で一日百円ずつ貯金しても」
そうしてもというのだ。
「違うしね」
「そうだよね」
「それで外でもね」
「百円を基準に買う」
「そうしたらそこでも節約出来るから」
「頑張っていこう」
「今は余計にね」
夫婦で話した、そして妻がスーパーで買ってきた半額や安売りの野菜や肉で作った夕食を食べた、その時は米が高いとも話した。だがそれでも節約を頑張っていこうと話した。今は二人でそうしようと。だが風呂に入って夫婦でベッドに入ると二人はほっとした。そしてまた明日と話して眠りに入ったのだった。
百円の重み 完
2025・3・16
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