だからってなんだよー 私は負けない
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3-5
3日目の荷造りも一通り終わった後、貫次が
「あのな セブイレまで持って行くのって大変だろう? ウチの工場から秋になると、クール便があるから、ヤマトが集荷にくるんだ。4時頃だと思うから、時間的にも余裕できるだろう? 親父に話してみようか?」
「うん 助かるけどなぁー ・・・ 一緒にって・・・いいって言ってくれるかなー」
「まぁ 言うだけ言ってみるさー それに、ウチの親父は新しいことが好きだから・・・ 荷物を一緒に置いておくだけだからー」
早速、荷物を送った後、貫次の家 篠田食品の工場を訪ねた。もう、工場の仕事は終えていたみたいで、中にはお父さんという人と歳とったおばあさんが何か片付けをしていて
「おぉー すぐりちゃんじゃぁないか しばらく見なかったが大きぃーなったのー どうしたんだ 今日は」
私 今やっていることの経緯を話して
「わかった と いう訳でウチのバカヤローも手伝っているんだな うすうす やっていることは聞いていたけどな 協力しようじゃーぁないか 僕はそーいうチャレンジは良いと思うよ すぐりちゃんは素晴らしい 地域の振興にもなるしな 9月になると原木栽培の出荷が始まるから、クール宅急便で各地に出すんだ まぁ 温度が低すぎるのでプチプチで被うんだが・・・ 旅館とか民宿でも鍋が始まるだろう? カニのシーズンなんて、そこそこ忙しいんだ 味のわかる人は菌床栽培なんて嫌うからね 香と味が違うんだ 荷物は表の冷蔵庫に入れておけばヤマトが勝手に持って行ってくれる 支払いは末〆で翌末払いだ 振り分けは紗栄子さんがやってくれるだろう」
「ありがとうございます 助かります」
「いやぁー さすが紗栄子さんの娘だね 中学生になったばっかーだろう? えらいなぁー ウチのバカ息子も指導してやってくれ」
「そんなー まだ やり始めたばっかりですしー」
「その やってみようって気持ちが大事なんだよ 僕もな まだまだなんだが 白木くらげをな やり始めたんだ 伸びてくれると良いなぁーって 椎茸だけじゃぁな 原木椎茸も春と秋のシーズンがあるしー」
「そーなんですか 難しいんですね」
ー ― ― ☆ ☆ ☆ ― ― ―
先生に報告すると喜んでくれた。
「うん 順調だね すぐりがここまでやると思ってなかった。いや 君なら出来ると思っていたカナ そーいえば 松永さんっていう人が・・・まぁ 今の [ナカミチ] があるのも、その人のお陰なんだが、その人もレストランやっているんだが、自分のとこは小さいお店なんで、そーいう飾りは使えないからって、だけど、知り合いの大阪の大きいホテルに紹介してくれたそうだ。そのうち注文が入るよ。忙しくなるぞー」
「えー 大丈夫かなー」 でも、貫次のことも先生に話してあるから、先生も大丈夫だと思っているんだろうな。
「そうだ ウチのお母さんがな 夏休みの間に一度 すぐりにお店に来ないかと言っていた。料理に飾っているとこを見るのも参考になるはずだからって どう?」
「うっ うん どうかなぁー なんか 怖い」
「何にも 怖くないよ 僕も 都合つけて、一緒に行くから 帰省兼て 泊まりな 部屋は清音叔母さんの部屋も空いているしー」
「うん 先生も一緒なら 行きたいかなぁー」
「よしっ じゃあー えーとー 27.28日にしよう いいね」
「うん・・・ 楽しみったら楽しみなんだけど・・・私 どうなって行くんだろう」
「心配するなよー 僕も付いている」
「そーだね 先生が側に居てくれるんだよね」 そうだ、私は・・・半分位は、先生の女になっているはずなのだ。
その話をお母さんにすると
「・・・ あのね すぐりは女の子なのよ そんな 初めての 知らないお家にお泊りに行くなんて・・・許せると思う? まして、学校の男の先生のとこなんて」
「先生は私を指導してくださっただけよ それだけ! だって お仕事のためなんだものー 先生のお母さんが・・・ううん レストランのオーナーが 一度お料理の飾りを見ておきなさいって誘ってくれたんだからー 私も 一度はご挨拶をって思って・・・」
「そう すぐりが、そー言うんだったら 反対しないわ 本当にお仕事の為だけよね!」
「そーだよ [愛の山]の為だけよ!」 と、言いながらも、心の底では先生のお母さんに私のことを認めてほしいという朧げな希望も持っていたのだ。この時、私は、もう 三倉耀という男の人に 私の王子様という 淡い気持ちを抱いていたのだからー
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