世界の礎
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第八話 騎馬の民との戦その六
「私も仲裁を申し出なかった」
「そうでしたか」
「しかしだ」
それでもというのだった。
「あの二人には絆がありな」
「お互いを大事に思っているので」
「だからだ」
それでというのだ。
「対立していてもな」
「和解を望みますか」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「ここはな」
「仲裁をしますね」
「そうする、双方の意見をよく聞いてだ」
「そしてですね」
「そのうえでな」
「双方の意見を摺り寄せもする」
「ここで一方的に自分の意見を通そうとするならな」
一方がというのだ。
「教え諭すが話を聞かない様ならだ」
「終わりですね」
「話を聞かない様な輩ならな」
「左様ですね」
「だが王も母后もそこまで酷くはない」
「人の話を聞かず自分の話を一方的に押し通す」
「それも無茶な話をな」
こう言うのだった。
「そうした輩はな」
「どうにもならないですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「幸いあの二人はそうした輩でないしな、じっくりとだ」
「双方の話を聞き」
「意見を摺り寄せていってな」
双方のそれをというのだ。
「ことを進めよう」
「それでは」
「ここはな」
まさにというのだ。
「時間をかけてもいい」
「時間をですか」
ラダメスが剣呑な顔で言ってきた。
「かけてもいいのですか」
「そうだ、いい」
こう言うのだった。
「戦の準備そして戦を行うよりは時間もだ」
「かからないですか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「地も流れず誰も傷付かないからな」
「だからですね」
「いい、ではな」
「時間をかけてもですか」
「仲裁を果たす、そしてその中でだ」
「帝国に加わればどういった利があるか」
「それを常に話す」
そうもするというのだ。
「双方にな、また二人のそれぞれの側近達にもだ」
「話すのですね」
「そして彼等の口からもな」
「王と母后に言ってもらいますか」
「一人に言われるよりもだ」
「周りから言われる方が大きいですか」
「だからな」
その為にというのだ。
「そうしていく」
「そうして帝国に入る様にしますか」
「あの国をな、いいな」
「はい」
ラダメスも他の者達も頷いた、そうしてだった。
義青は二人を仲裁した、それぞれの言い分を聞き意見を折衷させていった。結果母后の性分がわかった。
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