金木犀の許嫁
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第五十五話 忍者は冷静にその六
「人気も出たけれど」
「今はね」
「新聞やテレビよりもインターネットだよ」
「そちらの方が影響あるわね」
「実際どのチームも宣伝してるから」
インターネット上においてだ。
「そしてね」
「巨人だけじゃなくなって」
「昔はマスメディアで巨人巨人と言って」
漫画でもだ、おぞましいことに昔の野球漫画では主人公は巨人と相場が決まっていたのだ。これが戦後日本であったのだ。
「それでゴリ押ししていたけれど」
「それも出来なくなったわね」
「インターネットで他の球団が宣伝してるから」
だからだというのだ。
「もうね」
「そうしたことも出来なくなって」
「人気も落ちて悪事もばれて」
そうなりというのだ。
「それでね」
「人気がさらに落ちて」
「今に至るよ、お金も宣伝もなくなったら」
「ああなるのね」
「その二つが権力ももたらしていたけれど」
球界を壟断するまでにだ、まさに日本のプロ野球を巨人は私物化していたのだ。
「その二つもなくなって」
「落ちていって」
「今の巨人があるよ」
「そういうことね」
「それでいて過去の栄光にすがってるからね」
球界の盟主だったというそれにだ。
「もうね」
「よくならないのよね」
「気持ちを切り替えてですね」
白華が言った。
「一からやりなおす」
「そうすればいいわね」
「お金も宣伝もなくてもです」
「過去の栄光を捨てて」
「一からチームを立て直しますと」
「巨人も変わるわね」
「そうですね」
夜空に話した。
「時間はかかっても」
「そうよね」
「ですが」
それでもというのだ。
「巨人は努力しないですね」
「あれだけ酷い状況でも」
「二十五年連続最下位なんて」
この状況はというのだ。
「もうね」
「あんまりですよね」
「記録よ」
「最下位記録ですね」
「一シーズン辺りの敗けた数もね」
「毎年百二十敗ですからね」
「勝率一割台でね」
そうした状況でというのだ。
「もうね」
「ずっとですから」
「こんなに弱いチームってね」
「ないですよね」
「ギャグ漫画でもないから」
ここまで弱いチームはというのだ。
「本当にね」
「心を入れ替えてやりなおさないと」
「駄目よ、人気だってね」
「回復しないですね」
「猫も杓子も巨人なんてね」
そうした倫理観が崩壊した状況はというのだ。
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