金木犀の許嫁
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第五十五話 忍者は冷静にその四
「巨人は反面教師の最たるものです」
「ああなってはいけないとですね」
「スポーツチームだけでなく人、個人が見ましても」
「反面教師ですね」
「球界の盟主と驕り高ぶり」
そうしてというのだ。
「過去の栄光にすがり」
「他チームから選手を掠め取るばかりで」
「他に何もしなくては」
それではというのだ。
「あの様になることもです」
「当然ですね」
「左様です」
こう夜空に答えた。
「まさに」
「掠め取ること以外しなくて努力をしないと」
「ああなります」
「そういえば」
夜空は幸雄の話に考える顔になって応えた。
「巨人って補強や選手の人達の年棒にはお金を使ってきましたね」
「一時期凄かったですね」
「はい、もう青天井で」
そうした感じでというのだ。
「お金を積んでいました」
「不況の時もそうでした」
バブル崩壊以降のだ、俗に失われた十年だの言われるがこれは何故か二十年三十年と増加していっている。
「日本全体が苦しい時に」
「巨人だけはですね」
「もっと言えばマスコミだけがです」
この業界のみというのだ。
「お金があり毎日十時から不況ばかり言うキャスターが年に五億のギャラを貰い」
「凄いですね」
「そしてどのチームも苦しい中で」
「巨人だけがですね」
「そうしていました」
「不思議なお話ですね」
「マスコミ不況だったかと」
幸雄は失われた十年をこう表現した。
「マスコミが不況不況と連呼して」
「煽っていたんですか」
「不況を、いつもそう言われますと」
それが不況とだ。
「自然とそう思うのが人です」
「思い込まされるんですね」
「新聞や雑誌特にテレビで言われると」
「本当に不況って思いますか」
「世界一の貯蓄があった今もそうである日本の経済がそこまで悪いか」
幸雄は夜空だけでなくそこにいる家族全員に話した。
「そんな筈がありません、ですが」
「それでもですね」
「マスコミがずっとそう言いますと」
「信じるんですね」
「自然と」
そうなるというのだ。
「これが」
「それで皆不況と思って」
「やはり経済がよくない状況で」
その中でというのだ。
「現実以上にです」
「不景気に思っていたんですね」
「そしてマスコミにだけお金が集まり」
新聞の発行部数やテレビの広告費によってだ。
「巨人もです」
「補強が出来ていたんですね」
「そうでした」
「そうだったんですね」
「そして補強を続けましたが」
かつての巨人はというのだ。
「年棒にはお金を使っても」
「他のことにはですね」
「設備投資を行わず」
チームのそれにというのだ。
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