金木犀の許嫁
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第五十五話 忍者は冷静にその二
「心ある人なら」
「しかも弱いしね」
「二十五年連続最下位だからね」
「それもずっと勝率一割台で」
「打率は二割いくかどうかで得点もホームランも盗塁もいつも十二球団最悪で」
「チーム防御率七点台でね」
「エラーは年間二百でね」
「物凄い弱さよね」
「うん、そんな圧倒的な弱さだから」
今の巨人の弱さはというのだ。
「誰もね」
「応援しないわね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「あそこはね」
「殆どの人がね」
「だから今や人気も」
かつては残念なことに圧倒的だったそれもというのだ。
「十二球団ダントツで」
「最下位よね」
「本拠地の観客動員なんて」
それはというと。
「公表で五十万だよ」
「実際はもっと少ないわね」
「何しろいつも三塁側は満室で」
「一塁側は数える位よね」
「ある人が数えたら」
東京ドームの一塁側即ち巨人を応援する人数はというのだ。
「十人いなかったそうだよ」
「凄いわね」
「相手チームが巨人の負けを観たくて」
おぞましい邪悪そのものであるこのチームをというのだ。
「それでだよ」
「来てるのね」
「それで五十万だよ」
「巨人を応援していないわね」
「うん、凄い時なんか外野もバックネット側も」
そういった席もというのだ。
「全部だよ」
「相手チームのファンの人達で一杯ね」
「それだけ人気がないんだよ」
「巨人は」
「そうなっているんだよ」
「本当に人気がなくなったのね」
「なくなって当然です」
白華も嫌そうな顔で言ってきた。
「あんなチームは」
「悪いことばかりしてきたから」
「はい、巨人は出来てからです」
一九三四年、昭和九年のことである。この翌年に阪神タイガースが誕生して日本のプロ野球は本格的にはじまったのだ。
「ずっとそうでしたから」
「人気なくて当然ね」
「これまではです」
白華はさらに話した。
「新聞やテレビが巨人ばかりでしたので」
「親会社がそうだからね」
「ですからいつも出て」
マスメディアにというのだ。
「皆巨人ばかり見てです」
「応援してたわね」
「ですがネットの時代になって」
「他のチームも見てね」
「しかも悪事がわかってきたので」
「尚且つ弱くなったし」
「人気がなくなってです」
そうなりというのだ。
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