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お母さんのお握り

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第二章

「お握りよね」
「それうちだけじゃないんだね」
「貴方のお母さんのお家にお邪魔したら」
 その時はというのだ。
「いつも出してくれるけれど」
「お母さんお握り作ってくれるからね、お父さんと三人で」   
 今は髪の毛が白くなった両親のことを思い出しつつ応えた。
「いつも食べてたよ」
「お家ではね、けれどそれはね」 
 シータはさらに話した。
「日本全体でよ、コンビニでもスーパーでも絶対にあるわね」
「お握りはね」
「それでね」 
 そうであってというのだ。
「災害の時もね」
「お握り出るね」
「お弁当でもあって」
「うちはお弁当はいつもそうだったよ」
「兎に角何かあったら」 
 その時はというのだ。
「お握りよね」
「じゃあ日本全体がお母さんのお握りかな」
「そうなるわね、同じお米が主食の国でも」
 それでもというのだ。
「タイと日本だとね」
「そこが違うんだね」
「タイだとね」
 自分の国だと、とだ。シータは話した。
「カレーかね」
「炒飯かな」
「そうなるわ、本当にね」
 そこはというのだ。
「違うわ」
「日本はお母さんのお握りの国なんだね」
「ええ、そしてそのお握りがね」 
 シータは景朋に笑顔で話した。
「私もね」
「好きなんだ」
「日本に長くいてね、それじゃあ」
「今度一緒にお握り食べようか」
「二人で握る?それか景朋の実家でか買うか」
「二人で握ろう」
 景朋は笑顔で提案した。
「そうしよう、来月籍入れるし」
「結婚するから」
「子供が生まれたらそのお握りを一緒に食べるし」
「それならね」
「そうしよう」
「それじゃあね」
 シータは笑顔のまま頷いた、そしてだった。
 その時は二人で握って食べた、そのお握りもまた美味しく母親の味がした。


お母さんのお握り   完


                  2025・2・23 
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