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夢幻水滸伝

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第三百八十一話 南から北へその十三

「ほなね」
「勝てる筈がないので」
「もう戦はせえへん」
「しかもあたし達は覇権を目指してへん」
「アレンカールさんも平和にことを進めてくるし」
「それは確実ですね」
「こっちの世界でも戦より話でお話を進めてるし」
 だからだというのだ。
「もうね」
「こちらはですね」
「話が来たら」
 それならというのだ。
「お話を聞いたうえで」
「これでと思ったら」
「入ってな」
「そうさせてもらいますね」
「頼むで、それと」 
 マリアはイザベルに自分が留守の間にアレンカールから一緒にやっていこうという話が来たなら頷く様に確かに話してだった。
 その話が一段落つくとだ、彼にあらためて言った。
「それでやけど」
「何でしょうか」
「イザベルちゃん私のとこ来るまで修道院にいたんやね」
「はい」
 イザベルはその通りだと答えた。
「あたし僧兵なんで」
「神様にお仕えしてるし」
「そやからです」
「修道院に入って」
「それでそこで衣食住提供してもらって」
 それと共にというのだ。
「賊やモンスターが来たらです」
「戦ってたんやね」
「そうしていました」 
 マリアに答えた。
「マリアさんのところに来るまでは」
「ほなそれまでのこと話してくれる?」
 マリアは自分のことを話すイザベルに申し出た。
「どないやったか」
「マリアさんと一緒に働くまで」
「こっちの世界に来て」 
「それからですね」
「どないやったかね」
「おもろい話やないけどええですか」
「いやいや、そう言うお話こそ面白いもんやで」   
 イザベルに笑って返した。
「それに人の生い立ちはそれだけで物語やから」
「面白いですか」
「日本やと私小説ってあるしね」
「ああ、作家さん個人の日常のことを書いた」
「志賀直哉さんとかのな」
 灰色の月等が有名である、志賀直哉はその分野においてかなりの名声を得ている作家の一人であるのだ。
「そういうのもあるし」
「人の人生は面白いですか」
「そりゃ何もしてへん人生かてあるで」
 マリアはこうした人生の話もした。
「ふんぞり返ってるだけで努力せんで」
「そうして一勝過ごして」
「仕事もせん、迷惑かけてばかりで」
「誰の役にも立ってへん」
「そんな人生もあるで」
 世の中にはというのだ。 
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