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仮面ライダーガイゼル Feet.オール・ダークライダーズ

作者:地水
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Capture:00 ~融合世界群ゼノアース~

 
前書き
 前々からやっていたネタに挑戦。
主役は一号ライダー達と敵対していたかつての強敵・ダークライダー。
舞台はダークライダー同士が鎬を削って戦いあう融合した世界。
そこに現れるのは一人のライダー。 

 
 そこは理想郷と絶望郷の二つを兼ね備えたような世界だった。


いくつもの世界と混ざり合った特殊な世界――【融合世界群ゼノアース】。
様々な人種、様々な技術、そして様々な怪人達。
そしてゼノアースでは各世界から集まった"凄まじき戦士達"が世界の覇権を握るために戦っていた。



――某所。

「ハァッ!」

「トォッ!」

白波が大きく波打つ荒海を戦場に、二人の戦士が死闘を繰り広げていた。


片方は水色、青、赤で彩られた頭部にサメ、胴部にクジラ、下半身にオオカミウオの意匠を持った仮面の戦士。
金色の複眼と胸には三種の海洋生物の刻まれた三角形状のプレート(トライングデルタ)のその戦士は、手に持ったオオカミウオを模した槍・ディーペストハープーンを眼前の敵へと振りかざす。

――その名は『仮面ライダーポセイドン』。
人工コアメダルと最新鋭のポセイドンドライバーによって生み出された戦闘欲溢れる大海の現人神。


片方は黒のアンダースーツにグリーンカラーのラインが走り、腰のマントが靡かせてた仮面の戦士。
前髪のようなパーツと王冠のように生えた五本の角、黒目があるデザインのツインアイの宿したその戦士は、手に持った炎の刀身を持つ両手剣・ガシャコンソードでディーペストハープーンの刃を受け止めた。

――その名は『仮面ライダークロノス』。
時の神のごとき力を秘めた人類最大のゲームにおける攻略の鍵となる伝説の戦士。


奇しくも神々の名を持つ二人のライダーは互いに傷つけ合い、刃を振るいあう。

「貴様、手強いな」

「お前も手強くて攻略しがいがある」

「ハッ……だが命乞いはするな、時間の無駄だ!」

「いいや? 審判の時はここからだ」

ポセイドンが切り出した言葉をクロノスは自信満々に返すと、手元に召喚した可変式の銃型・ガシャコンマグナムを構えて引き金を引いた。
銃口から放たれた光弾がポセイドンへ狙って真っすぐ飛んでいくが、ポセイドンはディーペストハープーンを振り回して撃ち落として迫る。

「「ハァァァッ!!」」

ポセイドンのディーペストハープーンから放った大海の刃と、クロノスのガシャコンソードから放った炎の斬撃がぶつかり合う。
水と炎、相対する属性の力はやがて水蒸気爆発を引き起こし、眩い閃光を放ちながら辺り一帯の海水を空高く吹き飛ばした。



――某所。

【NEXT!】

【CLOCK-UP】

闇夜でも光輝く摩天楼の下の元、不可視の戦士達が激闘を繰り広げていた。


片方は黒いボディに水色のラインが描かれており、ワイヤーフレームのような形状の肩パーツ。
胸部には黒地に黄色のラインが走ったタイヤ型パーツ・タイプネクストタイヤが装着されており、水色のバイザーアイが光り、右手に握る一本の剣・ブレードガンナーを握りしめる。

――その名は『仮面ライダーダークドライブ』。
未来から一条の光として闇の中を走り続ける、正義を胸に秘めた漆黒の疾走者。


片方は黒と銀色のアンダースーツの上に黒い鎧に基盤のように走る赤い模様。
黄金色の複眼に天を指すような猛々しい一本角を携えた仮面の戦士は、その手に持ったクナイ型武器・ゼクトクナイガンを構えている。

――その名は『仮面ライダーダークカブト』。
光り輝く太陽の影から生み出された、光無き世界を駆け抜ける黒き暗黒神。


常人には見えぬ超高速の世界でお互いの刃をぶつけあい、切り結ぶ。
ダークドライブが発動した新型エンジン"コア・ドライビア-A"を応用した超加速で、ダークカブトの有する時間流にのった超高速能力・クロックアップを対抗していく。

「ようやく、慣れてきたぜ」

「速い!? クロックアップに対応できるヤツが他にもいるなんて……ぐあっ!?」

ブレードガンナーから繰り出された斬撃を受け、ダークカブトは地面へと転がる。
超高速の世界から帰ってきたダークドライブはゆっくりと歩みながら言葉を投げかけた。

「おい、いい加減退いてくれないか? お互い消耗したくはないだろう?」

「……生憎、オレには戦う理由がある。どうしてもやり遂げなくちゃいけない理由がオレにはある!」

ダークドライブの提案を蹴ったダークカブトは天へと向かって手を掲げた。
すると、バチリと電撃音が響いた途端に巨大な剣を模した昆虫型メカ・ゼクターが出現する。
何かがまずいと思ったダークドライブは咄嗟にバックステップで離れ、その瞬間大剣を握ったダークカブトの雰囲気が変わった。

「ついて来いよ。ここからが本気の速度だ」

大剣型のゼクター・パーフェクトゼクターをゼクトクナイガンと共に構えたダークカブトは再びダークドライブへと立ち向かっていく。



――某所。

何処かの廃れた遊園地にて蔓延る、無数に蔓延る仮面ライダー達。
量産型仮面ライダー"ライオトルーパー"達はたった一人の相手に苦戦を強いられていた。

「出番だ、グリム兄弟!」

【カイガン!グリム!】
【心のドア!開く童話!】

「ハァ!!」

韻を踏んだような電子音声と共に、空中に浮かぶのは"パーカーゴースト"と呼ばれる浮遊するパーカーを模した偉人の英霊達。
その中の一体・グリムパーカーゴーストは呼び出した本人へ憑りつくように装着し、両肩に装備されたペン型の武装・ニブショルダーを展開。
伸縮自在なエネルギーチューブとペン先型の鋭利な金属体で構成されるそれを振るい、ペンのような先端からは文字のような光のエフェクトを出現させると、ライオトルーパー達へお見舞いする。
避ける暇もなく被弾し、光の文字によって倒れていくライオトルーパー達……それでも後方から襲い掛かる部隊が現れると、次なるパーカーゴーストを呼び出した。

「行くよ、信長さん!」

【カイガン!ノブナガ!】
【俺の生き様!桶狭間!】 

次に呼び出されたのはノブナガパーカーゴーストは迫りくるライオトルーパー部隊を体当たりで蹴散らすと、グリムパーカーゴーストと交代するように装着した。
今度は手の意匠が入った銃器・ガンガンハンドをライフル銃のように構え、狙いすまして引き金を引くとその瞬間、周囲に無数のガンガンハンドが出現し、迫りくるライオトルーパー達を撃ち抜いていった。
やがて殲滅されたライオトルーパー達を前に、パーカーゴーストから解放された一人の戦士が姿を現した。


漆黒のボディに黒いパーカーを身に纏い、胸部には目玉の模様が描かれている。
一本の角を生やした頭部には白いマスクに鋭い眼のような複眼が、他の戦士よりその異質さを浮かび上がらせる。

――その名は『仮面ライダーダークゴースト』。
数多の英雄や偉人の力を集めるために命を燃やして奔走する、漆黒なる幽霊の戦士。


10000人にも及ぶライオトルーパー部隊を殲滅したダークゴーストはただ静かに佇む。
だがそこへ、静かに一人の戦士がやってくる。


黒いボディに金色のエネルギーラインが走り、腰のローブが靡かせている。
赤く大きなモノアイとΩ(オメガ)を模したデザインが施されたその仮面からは尋常じゃない威圧を感じ取っていた。

――その名は『仮面ライダーオーガ』。
命を落として復活した人類の進化種、その頂点に立つ冥府を支配せし地の帝王。


ダークゴーストの目の前に姿を現したオーガは手に持った剣型武器・オーガストランザーを構え、ゆっくりと迫る。
それに対してダークゴーストは先程のパーカーゴーストを呼び出した目玉型アイテム・ゴースト眼魂を片手に持って側頭部のスイッチを押す。

「頼みます、ムサシさん」

ダークゴーストが呼び出されたムサシパーカーゴーストは召喚されると、すぐさまダークゴーストへと装着される。

【カイガン!ムサシ!】
【決闘!ズバット!超剣豪!】

パーカーチェンジによって偉人・宮本武蔵の力を宿したダークゴースト・ムサシ魂となると、両手に持った可変型武器・ガンガンセイバー二刀流モードを構えて、オーガ目掛けて走り出した。

「「ハァ!」」

ダークゴーストとオーガ、一度目の死してなお蘇った二人のライダーが刃を交えた。
ぶつかり合う二つの刃から発生した余波は辺りの遊園地の器具を破壊していく。



己の誇りをかけて、命をかけて、ぶつかり合う仮面ライダー達。
幾多の仮面ライダー達がこの世界に存在し、死闘を繰り広げていた。

終わりなき戦いが今もゼノアースで広がり、先の見えない暗闇が未来を閉ざす中で……。


闇を裂いて光で未来の道へ切り開くのように、"一人の戦士"がライダー達の前に現れる。



――某所。
日本の中心であるこの都市には、何万人にも及ぶ住民が人の営みを育んでいた。
アスファルトで舗装された黒く硬い道を100人を優に超える通行人が歩き、それぞれの目的地へと向かっていく。
ある者は友人と語り合いながら、ある者は仕事を果たすべく、ある者は久方ぶりの休みを満喫するべく。
まるで北海の荒波の如く人が行き交うその裏で……迫り来る影があった。

『ケケッ』

「ひぃ、ひぃ、ひぃ!」

一人の幼い少年が何者かに追われている。裏路地に響き渡るその足音が異形の人影を呼び寄せていると知らずに。
少年は躓き、その場に転ぶ。

「あいたっ……ててっ、はっ!?」

迫り来る異形の怪物達が、少年へと狙いを定める。
その光に映し出された影が不定の形となって実体化したようなその異形は少年の命を駆らんと、その手を伸ばした。

「助けてっ!!!」

少年が叫んだ声は路地裏に響き渡った。
異形の影が伸ばしたその手が少年の喉元をかき切らんとした……その時だった。
――異形の影の手の掴んだ者が現れたのは。

『ケケッ!?』

異形の影が見ると、そこにいたのは漆黒の戦士。
昆虫を模した複眼となった緑色の双眸がギロリと睨みつけると、戦士は握っている方とは別の空いた手を拳として握り締めて、鉄拳を叩き込んだ。
異形の影は断絶魔を上げることもなく、その場で霧散。
漆黒の戦士は殴った手をプラプラと振りながら、仮面で隠した口元で呟いた。

「どうやら哀れな亡者が人間襲ってるようだな。こりゃ大変と言うべきか、楽しみというべきか」

戦士は自虐じみた言葉でそういうと、少年の方へ振り向く。
少年は先程起きた一瞬の出来事を目の当たりにして動けないようだ。
名も知らない彼の様子を見た戦士は、誰に言うわけでもなく、しかしその耳に届くように言葉をこぼした。

「今の事は、悪い夢だと思って忘れな。じゃあな」

そう言いながら少年を残して漆黒の戦士は去っていく。
気が付けば、まるで最初から何もなかったかのような裏路地の光景が続いていた。
そう、自分を襲うとしていた異形の影も、自分を助けた謎の戦士の姿も最初からいなかったように。


 
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