世界の礎
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第六話 香辛料もその十
「生きものも使うのだ」
「食べるだけでなく」
「蚊にはな」
「そうしていきますか」
「蚊は侮るな」
絶対にというのだ。
「あの虫は小さいが」
「マラリアがあるので」
「恐ろしい、また寝る時もな」
この時もというのだ。
「蚊帳を出す」
「蚊帳といいますと」
マホが問うた。
「それは一体」
「その蚊を防ぐものだ、それを張ってだ」
義青はマホにその蚊帳のことも話した。
「その中で寝るとな」
「寝ている間にですか」
「蚊にやられないからな」
だからだというのだ。
「いいのだ」
「そうですか」
「そうだ、だからな」
それでというのだ。
「これからな」
「蚊帳も出して下さいますか」
「これも作っていき」
そうしてというのだ。
「民に使わせやはりな」
「蚊帳も売るのですね」
「そうもしていく」
こう言うのだった。
「これからはな」
「そうですか」
「そしてだ」
「民を蚊から守り利益も得ますね」
「そうしていく」
「蚊のことまでお考えとは」
「さもないとだ」
義青は強い声で言った。
「民に犠牲が出るからな」
「そうなるとですか」
「その分国を弱めるからな」
「蚊についてもですか」
「出来る限りのことをしていくのだ」
「そうなのですね」
「マラリアにもな、そして他の疫病についてもな」
さらに言った。
「対していく、早いが牛痘も出す」
「牛痘といいますと」
「天然痘に罹らない為のものだ」
モルに話した。
「天然痘は牛に感染するが」
「確かに」
「そこから取り出したものでな」
牛痘はというのだ。
「人に移すとな」
「どうなるのでしょうか」
「天然痘に罹らなくなる」
そうなるというのだ。
「それが牛痘だ」
「天然痘に罹らなくなりますか」
「そうだ、民が天然痘に罹らないとな」
「それは大きいです」
モルは強い声で目を輝かせて答えた。
「それだけで命を落とす者が減ります」
「劇的なまでにな」
「ではその牛痘をですね」
「出す、いいな」
「宜しくお願いします」
「そして病院は常に奇麗にし」
義青は今度はこちらの話をした。
「包帯もこまめに取り換え傷口は水や強い酒で洗う」
「そうもしていきますか」
「特に戦の時はな」
尚更というのだ。
「そうすれば戦傷者も傷口から病になりだ」
「命を落とす者が減るのですね」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
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