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世界の礎

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第六話 香辛料もその三

「商いもしてな、手工業にも精を出し」
「街や村も整え」
「土地も豊かにしているが」
「民をないがしろにはしない」
「だからだ」
 そう考えるからだというのだ。
「野菜も果物も香辛料も出してだ」
「民を満腹にしますか」
「美味いものも食べさせてな、そろそろ味覚もだ」
 これもというのだ。
「楽しんでもらいたい」
「民達には」
「その段階に来た、香辛料にな」
 これに加えてというのだ。
「塩や砂糖、酢にだ」
「味付けに使うものは」
「他には大豆や魚から造った醤にな」
 これにというのだ。
「味噌や味醂、ソースも用いオイルもだ」
「用いるのですか」
「オリーブオイルがいい」  
 こちらがというのだ。
「オリーブを大々的に植えてな」
「そのうえで」
「そうだ、オリーブオイルを使った料理をな」
「民達に楽しんでもらいますか」
「これからはな、食って売りもし」
「他国にですね」
「利益も得る、今我が国は多くのものを売っている」
 他国にというのだ。
「種類も量もな」
「はい」 
 商業大臣であるイスト、三十代後半程の竜人の女が応えた。鱗の色は青でありそれが実に目立っている。
「農作物に加工品に」
「絹や綿、毛の織物に陶器にな」
「手工業品や鉄器も」
「紙も売ってな」
「塩や砂糖もですね」
「銭も売っているしな」
 こちらもというのだ。
「兎角だ」
「莫大な利益を得ています」
「そうしているかこれからもだ」
「様々なものを売ってですね」
「利益を得る、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「その利益を内政に用い」
「軍にも用いてな」
「より強くしていきますね」
「そうだ、これまで我が国はあまり戦わずだ」
「迎え撃つ方が多かったですね」
「城を攻めるよりな」
 それよりもというのだ。
「むしろだ」
「外交で掌握していき」
「ここまで至ったが」 
 それでもというのだ。
「これからはわからないからな」
「だからですね」
「軍にもこれまで以上にだ」
「力を入れますか」
「そうしていく、十万の兵をな」
 それだけの帝国軍をというのだ。
「二十万にしたい」
「倍ですね」
 イシュが応えた。
「まさに」
「そうだ、三千万の民達からだけでなくな」
「これまでは志願者を求めましたが」
「他国の者達もな」
「軍に入れますか」
「流れ者や他に行く場所のない者達もだ」
「そうした者達も軍に入れ」
 イシュはそうしてと応じた。 
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