金木犀の許嫁
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第五十二話 歴史の真実その十三
「そうなっただけね」
「今は何でもないわね」
「うん、助けてくれたし維新でね」
明治維新でというのだ。
「その時にね」
「しがらみもなくなったわね」
「そうなったよ」
「そうなったのね」
「時代が変わったから」
だからだというのだ。
「維新で完全にね」
「徳川幕府がなくなって」
「俺達も薩摩から出たし」
そうなりというのだ。
「もうね」
「しがらみもなくなって」
「それでね」
「伊賀からなのね」
「奥さんも迎えて」
そうなってというのだ。
「そちらの血もね」
「入ってるのね」
「徳川家も」
幕府のこの家もというのだ。
「今じゃ宮内庁におられるし」
「侍従長さんやっておられたりするわね」
「そう、だから」
それでというのだ。
「もうしがらみなんてね」
「ないのね」
「だからお祖母さんはね」
「伊賀におられるのね」
「そしてまたね」
夜空に微笑んで話した。
「伊賀に行くこともあるよ」
「あちらまで」
「遠いけれどね」
「そうなんですよね」
白華が少し困った顔で述べた。
「神戸から伊賀までは」
「そうだね」
「八条鉄道を使っても」
日本全土を走っているこの鉄道をというのだ。
「それでもなんですよね」
「大阪に出てね」
「そこから奈良に行ってです」
「伊賀までだからね」
「やっぱり遠いです」
「どうしてもね」
「伊賀は三重県なのよね」
真昼は伊賀のその場所の話をした。
「そう思うとね」
「神戸から遠いですね」
「ええ」
佐京にその通りだと答えた。
「距離的にね」
「電車を使ってもです」
「そんな感じだから」
「遠くて」
それでというのだ。
「中々です」
「行けないわね」
「はい」
佐京はまさにと答えた。
「これが」
「そうよね」
「若しです」
佐京はこうも言った。
「ヘリコプターならでです」
「一直線に飛べるし」
「速いですし」
電車よりもというのだ、ジェット機と比べるとかなり遅いがそれでもヘリコプターもそれなりに速いのだ。
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