世界の礎
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第五話 ナイル川その十三
「大火事になるとそうもいかないからな」
「火事への対策も行っていきますか」
「そうしていく、頼むぞ」
「わかりました」
カニは確かな声で応えた。
「その様に」
「城壁も堅固にするしな」
義青はこちらのことも話した、城即ち街を守る城壁のことは何があろうと欠かせないというのである。
「これまで以上に」
「高く分厚く」
「そして城壁の上に多くの兵がいられる様にしてな」
そうもしてというのだ。
「そこに兵器もだ」
「設ける様にしますか」
「投石器等もな」
「それで攻めて来る敵軍を叩く」
「それが出来る様にもする」
こう言うのだった。
「いいな」
「その様に」
「ではな」
「ウルも整えます」
こう言ってだった。
カニは義青の言う通りウルを百万の民が暮らす都市にし衛生や火事への対策も万全に行った。そうしてだった。
ウルは壮麗な大都市となった、義青はそのウルを街で最も高い塔の最上階から観つつこんなことを言った。
「帝国の都に相応しいな」
「はい、そうなりました」
カニはまさにと答えた、他の帝国の主だった者達も共にいる。
「ウルも」
「そうだな、百万の民がいてだ」
「壮麗であり」
「しまも守りは高くな」
「高く分厚い城壁にです」
カニはさらに言った。
「堀もです」
「深く広くな」
「越えるのは容易ではありません」
「そうだな」
「難攻不落であり」
「衛生もしっかりしていてな」
「火事への対策もです」
これもというのだ。
「万全です」
「そうだな、このウルのことがだ」
「世界に知れ渡りますね」
「繁栄する帝国の都としてな」
「帝国の富と力の象徴として」
「知れ渡る、ただ見事な街があるだけではない」
それに留まらずというのだ。
「その街がある国の力もだ」
「見せることになりますね」
「そうだ、では街に出入りする世界の商人達にな」
「存分に見せますね」
「ウルの繁栄と威容をな」
「それでは」
「そうする、ではだ」
義青はさらに言った。
「地中海の利権の掌握も固まった」
「各国にも分け前を与えたうえでの」
「それにだ」
さらに言うのだった。
「ウルも整ったしな」
「だからですね」
「次に移る」
そうするというのだ。
「これからはな」
「そうですか」
「いよいよ大々的にだ」
強い声での言葉だった。
「領土を増やしそうしてだ」
「そのうえで」
「巨大な国家とする」
こう言うのだった。
「いいな」
「それでは」
「また新たなものも出すしな」
そうもするというのだ。
「食べるものもな」
「そうして頂けますか」
「まずはな」
何といってもというのだ。
「人は食べることだ」
「全てはそこからですね」
「だからだ」
そうであるからだというのだ。
「これからもだ」
「食べるものを出して下さいますね」
「農作物にな」
それにというのだ。
「食器もな、家畜もな」
「出してくれますね」
「そうしていく、いいな」
「お願いします」
誰もはそれではと応えた、義青は世界の礎を築いていった。そのうえで自国の領土も拡大させ発展もさせていくのだった。
第五話 完
2024・11・23
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