世界の礎
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第二話その十
「人も国もな」
「そう言えば」
「そしてその通りにすればな」
「降りますか」
「現に私はその様にしている」
義青は強い声で述べた。
「降った者達はだ」
「そのまま遇していますね」
「奴隷は解放する様にしているがな」
「奴隷ではなく平民としていますね」
「それは行っているが」
それでもというのだ。
「命も立場も他の財産もな」
「奴隷も財産ですね」
「そうだからこう言った」
義愛もかつて奴隷がその所有者の財産とみなされていたことは知っている、南北戦争までのアメリカでもそうであった。
「しかしその補償もだ」
「奴隷を解放してですね」
「農具や家具を国が提供してだ」
「使用人をですね」
「雇うだけの給与も与えている」
そうしたことも行っているのだ。
「だからだ」
「奴隷を解放してですね」
「持ち主に損害を与えてもな」
そうしてもというのだ。
「その埋め合わせをしているしな」
「国として」
「だからだ」
そうであるからだというのだ。
「降る様にだ」
「していますね」
「そうだ、だからな」
それでというのだ。
「降る、若し降らないならな」
「その時は」
「その数と装備と強さを見せた軍でだ」
それで以てというのだ。
「攻める、だからああしたものを用意した」
「軍事大臣から聞いています」
サラは即座に答えた。
「攻城兵器ですね」
「それを用意している」
「投石器等の」
「これから戦は何度も起こり」
そうしてというのだ。
「時にはだ」
「敵の城を攻めますね」
「そうすることもあるからな」
だからだというのだ。
「ああしたものも造らせたのだ」
「そうなのですね」
「攻城兵器を使って攻めるとだ」
そうすればというのだ。
「それでだ」
「楽に攻められますか」
「そうだ、だからな」
「城攻めとなっても」
「安心していい、そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「これからな」
まさにというのだ。
「攻めることになっても臆することなくだ」
「敵に降る様に言っていきますね」
「今の相手だけでなくな」
「では」
「今の敵国に告げるのだ」
「わかりました」
サラは頷きそうしてだった。
敵国の王に義青の言葉を伝えると王は既に大いに敗れしかも捕虜を返すという約束を守っていることを受けてだ。
一も二もなく降った、すると義青は彼が言った通りの処置をその国に行った。
それを見て周辺国は次々と義青に降った、諸王の代表となっているカニはここで義青に対して言った。
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