| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界の礎

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二話その八

「身代金を支払いな」
「敵国が」
「捕虜を返した後でだ」
 義青はそれからのことも話した。
「降る様に言うのだ」
「また私が使者に赴き」
「そうだ」
 その時はというのだ。
「そうするのだ」
「そうされて降れば」
「迎え入れる」
 サラに微笑んで告げた。
「そして他の街や村と同じ様にだ」
「治めるのですね」
「そうする」
「寛容ですね」
「寛容であるべきところは寛容でいることだ」
 義青はサラに告げた。
「こうした政はな」
「寛容であることですね」
「信仰もだ、その国の信仰はな」
「そのままですか」
「一切禁じない」
 そうするというのだ。
「そして有能な者はな」
「用いるのですね」
「そうする、ではだ」
「敵国にですね」
「あらためて行ってくれ」
 サラに告げた。
「そしてだ」
「正式にですね」
「身代金を支払うかどうかをな」
 このことをというのだ。
「聞くのだ」
「そして払えばですね」
「よしだ」
 確かな声で言い切った。
「それでな」
「本当に返しますね」
「そうする」
「そうですか」
「約束は守る」
「お金を受け取って返さず捕虜を使役し続ければ」
「利にはなるな」
「そうなるともです」
 サラは述べた。
「考えられますが」
「ではそなたはそうしたことを行う者を信じられるか」
 義青はサラに問うた。
「そうした者を」
「いえ」
 即座にだ、サラは答えた。
「全くです」
「信用出来ないな」
「はい」
 こう答えるのだった。
「そうした国は」
「そして人はだな」
「信用出来ません」
「そして距離を置くな」
「そうします」
「そうだ、そしてそんな国と商いもしないしまともな外交もだ」
「行わないですね」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。
「やがては行き詰まる」
「約束を守らないのなら」
「だからだ」
「約束は守りますか」
「そうする、外交では時として相手を騙すこともあるが」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧