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おぢばにおかえり

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第八十三話 回廊ひのきしんその七十四

「本当にね」
「先輩も悪いことします?」
「悪戯したりね、子供の頃なんてね」
「想像出来ないですね」
「意地悪なところもあるし」 
 自覚しています。
「そうした人間だから」
「全然そうは見えないですが」
「それでもよ」
 これがです。
「私だってね」
「そんなところあるんですね」
「そうよ」
 こう新一君に言いました。
「だからね、誰だってね」
「悪いことしますか」
「そうよ、間違えることだってね」
「どんないい人でもですか」
「完璧な人なんていないから」
 それこそ誰であってもです。
「間違いだってあるわよ」
「そういうことですね」
「というか新一君嫌いじゃなかったら間違い許すわよね」 
 見ているとです。
「笑顔で」
「そうですね、僕は」
「その心を忘れないでね」
 こう言いました。
「本当に」
「そうですね」
「わかってるならね」
 自分で、です。
「なおしていってね」
「少しずつですね」
「そうしていってん、それじゃあね」
 ここまでお話してでした。
 私は横にたこ焼き屋さんを見て新一君にあらためて言いました。
「食べてく?」
「あっ、遠慮します」
 新一君は笑顔で応えてくれました。
「お金ないですから」
「私あるけれど」
「いえ、こうした時はワリカンで」
 こう言うのでした。
「それか僕が男ですから」
「ああ、男だから全部出すとかないから」
 そこは断りました。 
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