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紋章持ちの転生者は世界最強

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閑章 上級神と下級神の会話

私、リアシグナは神の作業中に誤って本来死ぬはずではない草薙信也さんの運命を返って死なせてしまった。上級神様から今回ご迷惑をかけた人を呼ぶので姿を消してここに居るようにと言われ待機しています。

そして草薙信也さんと上級神様の会話を聞いて呆然としてしまった。その理由は草薙信也さんの先ほどの言葉……。


『それなら、女神様!先ほど要望を変更します!今回、俺を死なせてしまった女神様の可能な限りの減刑をお願いします!』


どうして?私はそう思わずにはいられなかった。私がミスを犯したせいで草薙信也さんは死ななくていいのに死なせてしまった。

本来ならば罵詈雑言を浴びせても文句を言えない。ううん。それは、私のミスで死ぬことになった草薙信也さんの持つ当然の権利だ。

草薙信也さんの未来について上級神様は嘘だと伝えていたけど、あの話は本当のことだ。本来なら高校卒業式の日に幼馴染の雪城美鈴さんと交際を初めて大学卒業後に結婚し、草薙信也さんが勤めることになる研究所で第三永久機関を作ったことで多くの幸福が舞い込んでくるはずだった。

それを私の手ですべて台無しにしてしまった。それなのに……


『俺はその女神様が次はミスしないことに賭けたい。だから彼女の罰の減刑を再度お願いします』


上級神様が偽善な行為だと言っても草薙信也は自分の行動が偽善なことを承知の上で私の減刑を願い出た。

そんな草薙信也さんの魂はなんて気高くて、強いのだろうかと思ってしまった。そして草薙信也さんとの会話を終えて上級神様が草薙信也さんを無事転生させた。


「出てきなさい」


私は上級神の言葉に従い姿を現して目の前に移動する。


「リアシグナ、貴女も知っている通り、1人の運命を狂わせるということは、その人物の子供、孫、その後に続く子孫たちすべての運命を狂わせるということです」
「…………はい」


上級神様の言葉を聞いて私は俯く。彼、草薙信也さんは自分1人だけを死なせたに対する罰が数万年の幽閉に不公平だと感じているようですけど、その人を死なせたということはその人の子孫すべてを殺すことに等しい。

数万年の幽閉なんて生易しいレベルの処罰だ。


「なにより草薙信也さん地球の科学レベルの引き上げと、普通の人よりも多くの子を残すはずでした。その彼を死なせたことは多くの命を奪うことに等しいことです」
「はい……理解しています」
「本来であれば暗黒空間に幽閉どころか、貴女の存在消滅すら視野に入れなければならないほどの重罪です」


上級神様の言葉に私は俯く。その言葉に反論することができない。私はその処罰を課せられても文句を言えない罪を犯してしまったからです。

私は軽く深呼吸をしてから覚悟を決める。


「はい……この度の罪はこの身を持ってーーー」


償いますと言葉を続けようとした時……。


「……ですが」


上級神様の言葉が私の言葉を遮った。


「今回の被害者である草薙信也さんの願いを無礙にすることなどできません」
「……え?」


上級神様の言葉に私は上級神様の様子を伺う。


「下級神リアシグナ」
「は、はい!」


声色の変わった上級神様に名前を呼ばれ、私は思わず背筋を伸ばしてしまいました。


「貴女に今回の罪に対する処罰を言い渡します。貴女にはこれより人間界の1人の少女に転生し、下界で暮らして貰います」
「え?」


人間に転生。神が罪を犯して人間に転生するという罰則はある。だけど、それは、もっと罪が軽い者に対する罰のはずです。


「もちろんそれだけではありません。今回、転生させた草薙信也さん向こうの世界にとってはイレギュラー。運命は草薙信也さんと結ばれる絆を認めないでしょう。故に貴女が彼と歩み、彼を支えなさい。それが貴女に対する罰であり、貴女が彼にしてあげられる唯一の償いです」
「は、はい!」
「転生する際に女神としての力と記憶は封じられてしまいますが、運命は必ず彼と貴女たち二人を引き合わせるでしょう」


上級神様の言葉の後に意識が朧気になっていく。


「ではいきなさい。貴女たちの人生に幸がおおからんことを」


意識が暗転し、とある世界の1人の女の子として転生した。 
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