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四輪の薔薇

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第一章

                四輪の薔薇
 アメリカケンタッキー州に伝わる話である。
 アトランタ出身のポール=ジョーンズ親子は今話していた。
「ケンタッキーに移るか」
「あっちの方が水がいいからだね」
「ああ、ライムストーンの水はいい」
 茶髪に青い目と彫のある顔の父は自分を若くした様な顔立ちの息子に話した。二人共引き締まった体格で背は高い。
「だからな」
「これからはか」
「ケンタッキーでな」 
 この州に移住してというのだ。
「あそこでバーボンを造ってな」
「売るか」
「そうしよう」
「それがいいか」
 息子は父の言葉に頷いて言った。
「まだ慌ただしいにしても」
「戦争が終わってな」
 親子は自宅の中で向かい合って座って話している、木製のテーブルに肘をかけてだ。そうして南北戦争の話もした。
「まだな」
「あっちに行っても何かとあるかもな」
「ああ、しかしな」
 それでもとだ、父は言った。
「思い立ったら、だろ」
「迷ってるとな」
「先にその水取られるぞ」
 ライムストーンのそれをというのだ。
「だからな」
「待つよりはだな」
「動いた方がいいな」
「ああ、それじゃあな」
「すぐにあっちに行こう」 
 ケンタッキー州ローレンスバーグにとだ、こう話してだった。
 親子はその地に移住して目を付けていた水脈を用いてだった、バーボンを造ると早速評判になった。
「売れてるな」
「親父の読み通りだな」
「ああ、やっぱりすぐに移住してよかったな」
「そうだな、酒も水だからな」
 息子はそれでと話した。
「それでだな」
「ああ、これからはな」
「ここで暮らしてか」
「バーボン造るぞ、ただ酒の名前がな」
 父はここでそれの話をした。
「まだな」
「これといったのになってないな」
「インパクトがあって目立つな」
 そうしたというのだ。
「いい名前にしたいが」
「ちょっと思いつかないな」
「どうもな」
 親子でそうした話もした、酒は売れているが名前をどうしようかという話が出ていた。その中でだった。 
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