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夢幻水滸伝

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第三百七十二話 自信のないジェネラルその五

「見違えるまでにです」
「よおなっていますか」
「はい」
 日系人の虎人のシェフが作った牛丼を共に食べつつ答えた。
「区全体が」
「そうやとええですが」
「就職率も日増しにです」
「改善していて」
「はい」
 そうなっていてというのだ。
「見違えるまでにです」
「よおなっていますか」
「ですから」
 それでというのだ。
「助かっています、区の誰もがです」
「僕の行政をですか」
「感謝しています」
「そうなんですね」
「それで区長が市長にお話して」
 味噌汁を飲むアマードに答えた。
「ブラジリア全体をです」
「この街をですか」
「治めて頂きたいとです」
 その様にというのだ。
「言われています」
「そうですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「これからはです」
「市全体をですか」
「治められてはどうでしょうか、勢力もです」
 こちらもというのだ。
「旗揚げされて」
「随分お話が大きくなっていますが」
「それもです」 
 市長は言った。
「当然かと」
「そうでしょうか」
「それだけアマード様がお見事なのです」
「僕にそこまで感謝して頂けるとは」
 信じられないという声でだ、アマードは応えた。
「思いませんでした」
「そうなのですか」
「何も出来ないというのに」
「いえいえ、とんでもない」
 署長はアマードの今の言葉を否定して応えた、署の食堂で向かい合って座って牛丼と味噌汁に漬けもの、おかずのドラドの塩焼きを食べつつ言った。
「アマード様は何でもです」
「出来ていますか」
「左様です」 
 まさにというのだ。
「出来ています、そして」
「そして?」
「これからは全ブラジリア市民をです」
「誰もがですね」
「幸せになる様に」
「治めて欲しいですか」
「お願い出来ますか」
 こう言うのだった。
「よければ」
「では皆さんと共に」
 アマードはドラドの塩焼きをおかずに牛丼を食べつつ言った、二人共特盛だがアマードの方には生卵と紅生姜が入っていてかき混ぜられている。
「そうさせて頂きます」
「これからは」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「僕の出来る限りのことをです」
「してくれますか」
「皆の為に」
「それではお願いします」
「はい、そして」
 今度は牛丼を食べつつ言った。 
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