仮面ライダー エターナルインフィニティ
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第九話 蛇の力その四
それをかわしてからだ。二人は言うのだった。
「成程な、この強さは」
「噂通り、いや以上でしょうか」
「前に戦った時より強くなっている」
かつてのオロチとの戦いを思い出しつつ。響鬼は宗朗に話す。
「それもかなりな」
「そうなんですか。じゃあこの戦いは」
「辛いものになるだろうな」
「そうでなくては何も面白くはない」
オロチは楽しむ声で述べてくる。
「違うだろうか。しかしだ」
「ああ。例えあんたがどれだけの力で来ようともな」
響鬼は再び頭をもたげてきたオロチのその首に対して返す。
「俺達は勝つからな」
「では勝ってみせるのだ」
楽しむ言葉だった。
「私も全力でやらせてもろおう」
「!?これは」
二人の周囲にだ。今度は。
赤紫の霧が出て来てだ。二人の視界を遮ってきたのだ。
周りが全く見えなくなる。その中でだ。宗朗は。
目を閉じた。そうして言うのである。
「霧なら。こうして」
「目には頼らないか」
「はい、見えないのなら意味はないですから」
それでだ。目を閉じたというのである。そしてそれを見てだ。響鬼は。
剣を構えてだ。動きを止めた。その彼等にだ。
霧の中からだ。オロチが言ってきたのだった。
「面白いな。狼狽はしないか」
「今更狼狽しても仕方がないからな」
響鬼が話す。
「むしろ狼狽しない方があんたにとってもいい筈だ」
「そうだな。私にしてもだ」
オロチも話してだった。彼は。
気配をそのままにしてだ。二人に言うのだった。
「君達の全力を見たい」
「狼狽していたら全力は出せないからな」
これまでの数多くの戦いからだ。響鬼も冷静さがどれだけ重要なのかわかっていた。熟知していた、そう言っても過言ではない程だ。
そのうえでだ。響鬼も宗朗も。
周囲のオロチの気配を探りながら。そのうえでだった。
「そこだな」
「そこか!」
それぞれ剣から炎、そして気を放つ。その炎と気でだ。
オロチの気配がした方を撃つ。すると。
忽ちのうちに霧が消えた。それを見てだ。響鬼は宗朗に告げた。
「霧が消えたぞ」
「そうみたいですね」
目を開けてだ。宗朗は自分でもそれを確めてから述べた。
「どうやら今の僕達の攻撃は」
「オロチのその首に当たったな」
「はい、そうですね」
見れば仲間達がそれぞれの首と戦っている。そしてだ。
彼等が戦っている首もだ。やはりいた。見れば額が割れている。その額から一条の赤い血を流しながらだ。オロチは二人に言ってきた。
「霧は破ったか」122
「ああ、そうさせてもらった」
響鬼がオロチのその言葉に返す。
「この通りな」
「いい攻撃だ。しかしだ」
「まだだな」
「言うならこの霧は余興」
それに過ぎないと言うのだ。二人の視界を完全に遮ったそれですら。
「楽しみの中の一つでしかない」
「だからあっさりと諦めたか」
「それに過ぎないからこそ」
「そういうことだ。さて」
ここまで話してだった。オロチは今度は。
幾つにも別れてきた。そうしてだ。
一斉にだ。二人に襲い掛かって来た。だがそれを見てだ。
宗朗がだ。こう響鬼に言った。
「この首達はあれですね」
「そうだろうな。一つだけだ」
「はい、本物はですね」
このことをだ。二人はすぐに察したのである。
「ですがそれでも」
「攻撃力はあるな」
幻影の首にもだ。全てだというのだ。
「実体はなくても」
「そうですね。間違いなく」
「その通りだ。確かに私の実体は一つだ」
それはオロチも言うことだった。
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