夢幻水滸伝
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第三百六十八話 ブラジルにてその九
「間違いなくです」
「忙しいわね」
「自炊等するお時間は」
「ないわね」
「ですから」
「人を雇うことね」
「そうされるべきかと」
こう言うのだった。
「やはり」
「そうね」
アレンカールは店長の言葉に確かな顔と声で頷いた。
「そうした人達を雇うわ」
「そうされますね」
「ええ、忙しいなら」
そうした仕事ならというのだ。
「もうね」
「人を雇ってですね」
「家事をしてもらうわ」
「そうされますね」
「さもないとね」
「どうにもならないですね」
「だからね」
それ故にというのだ。
「お家を借りてね」
「人を雇って」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「お二人の言う通りにやっていくわ」
「それでは、ですが」
店長はアレンカールにこうも言った。
「今は隣のお家にお住まいになられますが」
「これからはなのね」
「どうされますか」
「お家は快適なら別にね」
アレンカールはすぐに答えた。
「それならね」
「それでいいですか」
「あたいはね、豪邸に住むとか」
「そうした趣味はおありではないですか」
「ええ」
そうだというのだ。
「あたいはね」
「贅沢はされないですか」
「これといってね」
考える顔で答えた。
「興味はないわ、嫌いやないけど」
「特にこれといってですか」
「しようとは思わへんわ」
「そうなのですね」
「ええ、というか今起きた世界やと学生で寮で暮らしてるから」
だからだというのだ。
「一軒家で暮らすだけでもね」
「かなりですか」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「これ以上はね」
「望まれないですか」
「一軒家に住んで衣食住を使用人の人達がしてくれるって」
そうした生活はというのだ。
「充分過ぎるでしょ」
「贅沢ですね」
「ええ」
まさにというのだ。
「そう思うわ」
「そうですか」
「だからね」
それでというのだ。
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