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夢幻水滸伝

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第三百六十八話 ブラジルにてその七

「お家一つです」
「使ってええのね」
「アレンカール様さえお望みなら」
 そうであるならというのだ。
「どうぞです」
「そうなのね」
「そしてです」
 店長はさらに話した。
「宜しければ使用人の人もです」
「雇って」
「そうして過ごされては」
「一人暮らしやなくて」
「一人暮らしだとお料理や炊事洗濯もしなくてはならないですね」
「あっ、そうなると」
 アレンカールはここで気付いた。
「ここの文明レベルやとね」
「全て時間がかかりますね」
「ええ、水道もないわね」
「一応ありますが」
「あたいが考えてるものやないわね」
 ここでアレンカールはこうも言った。
「蛇口を捻ればお水が出る様な」
「そうした水道ではありません」
「水路があってね」
「そこからお水を取ります」
「そうよね」
「下水道もありますが」
「そちらも違うわね」
 今度はトイレのそれを思い出した。
「それにお料理は竈ね、魔術や錬金術があっても」
「具体的に申し上げますと」
 店長はアレンカールに話した。
「アメリカとは全くです」
「ちゃうのね」
「ですから一人暮らしですと」
 そうすると、というのだ。
「炊事洗濯はです」
「自分でやると時間がかかるわね」
「外で召し上がられて洗濯屋さんにしてもらうなら」
「時間がかからないけれど」
「お金があればいいですが」
「あるけれど」
 ここでアレンカールは難しい顔で話した。
「外食ばかりやと栄養偏るわ」
「そうなんですよね」
 ウェイトレスがまさにと応えた。
「これが」
「そうでしょ、そやからね」
「外食はですね」
「いつもはね」
「されないですか」
「味付けが濃くてどうしても自分が好きなものばかり食べるから」
 外食だけだと、というのだ。
「そやからね」
「いつもはですね」
「よおないわ」
「お家で食べることですね」
「基本はね、あたいはそう考えてるわ」
「そうですか」
「今は起きた世界では寮にいて」
 学園のそちらでというのだ。
「そこで食べてるけれど」
「栄養バランスは大丈夫ですね」
「寮のお食事は考えているからね」
「そうなのですね」
「そやけどやっぱり確かに暮らしたいなら」
 そうした食生活を送りたいならとだ、アレンカールは自分から言った。 
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