ヘタリア大帝国
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TURN52 田中の苦境その二
田中はそれを見て己の部下達に告げた。
「よし、いいな野郎共!」
「ええ、総長じゃなかった司令!」
「ここはですね!」
「一気に突き進むぞ!」
そしてそのうえでだというのだ。
「今度こそあの女潰してやるぜ!」
「やってやりましょう!」
「本当に今度こそ!」
「敵陣を一気に突き破るぞ!」
田中はイザベラに読まれているとも知らずそのまま突っ込んだ。イザベラはその突撃を作戦通り艦隊を左右に分けてかわした。
そして田中艦隊の後方で自身の艦隊を合流させてだった。攻撃をかわされた田中艦隊が急いで反転する先を。
「今だ、撃て!」
「はい!」
「それでは!」
イザベラの部下達も応える。そうしてだった。
田中艦隊のその反転途中、実に素早い動きだったがその一瞬の隙をついて一斉攻撃を浴びせる。それで田中艦隊を壊滅させた。
田中艦隊を壊滅させたところでアメリカ妹がイザベラに言ってきた。
「今回もやったね」
「はい、日本軍にダメージを与えました」
イザベラもこうアメリカ妹に返す。
「それではですね」
「ああ、これで帰ろうとかい」
「では」
ガメリカ軍はまだ積極的な攻勢を考えていない。あくまで威力偵察の様に攻めているだけだ、だからある程度のダメージを与えてから撤収する様にしている。実際に今もだった。
アメリカ妹とイザベラの軍勢はハワイに戻った。日本軍だけが損害を出していた。
そしてその損害ばかり出す田中はいつも艦隊の修理に本土に戻り壁を拳で殴っていた。
「くそっ、またやられたぜ!」
「田中さん、お気持ちはわかりますが」
その田中に日本妹が気遣う顔で言う。
「ですがそれでも」
「落ち着けっていうんだよな」
「はい、この失敗をです」
「次に活かせっていうんだよな」
「そうしましょう」
「わかってるんだよ、それはな」
田中は苦々しい顔で日本妹に応えた。
「俺だってな」
「だからその都度ですね」
「攻め方を変えてるんだよ。けれどあの女はな」
「朽木イザベラ提督ですね」
「ガメリカ軍の日系人提督だよな」
「はい、そしてガメリカ軍士官学校を首席で卒業しています」
イザベラのことは日本軍でも有名になっている。しかもただの首席でないこともだ。
「軍歴を見ましても」
「無効で一番の勇将だよな」
「その信条は当たって砕けろです」
この言葉でも有名な提督だ。実際にアメリカもキャロルも彼女を深く信頼している、無論太平洋軍司令官のダグラスもだ。
「ですがそれだけでなく」
「いつも俺の動きを読んできやがるな」
「ただの勇将ではありません」
「頭もいいのかよ」
「航空機を使った戦いは得意ではない様ですが」
それはしなかった。だが、なのだ。
「戦艦や駆逐艦については」
「かなり、だよな」
「だからこそ手強いです」
日本妹もまたイザベラのことを正しく評価していた。かなりの実力だと。
「それに田中さんも」
「」前に出るなっていうんだよな」
「迂闊に前に出ては危険です」
だからだというのだ。
「いつも突出されますが」
「俺は先陣だからな」
これは田中の指揮を見てそうなっていることだ。
「だからなんだけれどな」
「猪突猛進は時として多大な損害を出します」
今の田中がまさにそれだった。
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