夢幻水滸伝
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第三百六十八話 ブラジルにてその四
「お力も隔絶しておられますし」
「神霊の域にまで達しておられるので」
「そやからなの」
「はい、ですから」
「当然と言えば当然です」
「いや、神霊の域ってね」
そう言われてもだ、アレンカールは首を傾げさせつつ述べた。
「同じ人でしょ」
「そう言われますか」
「アレンカール様としましては」
「人は人でね」
そうであってというのだ。
「神霊さん達と比べたら」
「違いますか」
「そうなのですか」
「もの食べて寝ておトイレにも行って」
その様なことをしてというのだ。
「寿命が来れば死ぬから」
「だからですか」
「違いますか」
「ええ、そんな畏まらなくてもね」
自分を特別な存在と見てというのだ。
「ええわよ、市長さんともね」
「お話をされますか」
「聞いてもらうのではなく」
「その為に来たのよ」
このことも言うのだった。
「そやからね」
「これからですか」
「お話をされますか」
「そうさせてもらうわ」
こう言ってだった。
アレンカールは市長と話した、市長は小人の老人だったが門番の兵達から彼の言葉を聞いていて驚いた顔で言った。
「私とお話をですか」
「したいの、あたいは今どうしたらええかわかってないのよ」
アレンカールはどうかという顔で述べた。
「これからどなしたらええか」
「世界を救われるにしても」
「そうなの、来てばかりだしね」
この世界にというのだ。
「そやからね」
「私からですか」
「相談してね、知恵を借りて」
「そうなのですね」
「この世界に来たばかりで」
このことをまた言うのだった。
「起きた世界やと十八歳よ」
「お若いということですか」
「若輩者よ、そやからね」
「何もですか」
「わかってないのよ」
「これからどうされるべきか」
「この世界を救うにしてもね」
それが使命だがというのだ。
「それでね」
「私とですか」
「お話をしてこれからどうするか決めたいのよ」
「そうなのですね」
「ええ、だからあたいが自分の考えを言うんやなくて」
そうではなくというのだ。
「むしろね」
「私の考えを聞いて」
「そして自分も考えてね」
そのうえでというのだ。
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