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金木犀の許嫁

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第三十七話 織田作好みのカレーその二

「その食べ方がね」
「美味しいね」
「そうなのよ」
「それじゃあ」
「今からね」
「食べよう」
「そうしましょう」 
 二人で話してだった。
 実際にそうして食べはじめた、佐京は一口食べて言った。
「これは」
「美味しいでしょ」
「うん」
 夜空に笑顔で答えた。
「本当に」
「そうでしょ、だから私好きなの」
「このカレーが」
「そしてお店もね」
 自由軒自体もというのだ。
「好きなのよ」
「そうなんだね」
「ええ、じゃあこのカレーをね」
「二人で食べよう」
「そうしましょう」
「何か」
 佐京は食べつつ言った。
「こうして生卵入れて混ぜるって」
「おソースかけてね」
「日本独自の食べ方だよね」
「カレーのね、そのはじまりがね」
「このお店なんだ」
「そうらしいわ」
「そうなんだ」 
 夜空の話を聞いて言うのだった。
「それは知らなかったよ」
「温かいものを食べてもらう」
「そのことを考えて」
「ご飯とルーを混ぜてね」
 最初からというのだ。
「それでそこにね」
「生卵を入れる」
「そうして食べる様になったの」
「面白いね、それじゃあ」
「食べましょう」
「今からね」
 二人で話して実際に食べた、佐京はカレーを一口食べると微かにであるがにこやかに笑って夜空に話した。
「美味しいね」
「そうよね」
 夜空は明るい笑顔で応えた。
「自由軒のカレーはね」
「美味しいよ」
「どうも好き嫌いが分かれるみたいだけれど」
 そうしたカレーだがというのだ。
「けれどね」
「俺は美味しいと思うよ」
「佐京君笑顔になってるわよ」 
 夜空はこのことを指摘した。
「今ね」
「そうなんだ、俺あまり表情出ないけれど」 
 このことを自覚して言うのだった。
「そうなんだ」
「微笑んでるわ」
「そうなっているんだ」
「本当にね」
「美味しいから」
 実際に食べてみてというのだ。
「それでだね」
「そうね、本当にね」
「このカレー美味しいよ」
「昔からね」
「それこそ織田作さんの頃から」
「昭和、戦前からね」 
 まさにこの頃からというのだ。 
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