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今度こそ、成し遂げてみせる【未完】

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第13話「腹が空いたな」

 ヒルデは地下室へと到着した後、眼前にある指紋認証付きの扉を開けた。

 地下室は二つあるが片方は書斎だ。そしてもう一つも同じ階に有る。

 内装は個人が使うにはやや広く、絵画を掛けてあり、黒檀製の本棚がある。また、可愛らしいカーバンクルの調度品を配置することで、雰囲気が重くなりすぎないように工夫。

 高級感がある机に机の向かい側には高級感のある黒いレザーチャアがあり、木製机の上には一枚の写真立てがあった。
 
 部屋に入ったヒルデは本棚の隣にある扉に向い、扉を開けて入室。

 内装は至ってシンプルであり、白い壁に木の床で、片面の壁いっぱいには大型の鏡があり。三人が座れるベンチにランニングマシーン、サンドバックがあった。

 広さは書斎がある部屋よりもやや狭めだが、個人が使う分には大きいだろう。
 この部屋は”とある目的”の為に存在しているのだから…。

 ヒルデはベンチに置いてある運動着へと着替え始めた。

 まずは、胸下のバンドがしっかりと支えてくれる胸が揺れにくい、動きやすく通気性がよい、白が基調のスポーツブブラに着替え、その後は運動着の黒い半ズボンを。

 スボーツブラの左胸には【フェンリル小隊】のエンブレムが印字され、左胸と右胸の中央にはチャックがある。
 
 黒い半ズボンはこの黒い半ズボンにはエンブレムではないものの、両側面にある1本の白い線には、フェンリルが英語で印字されている。

 そう、この2つはこの世界のものでは無い。
 この2つは、自作したものだ。

 着替え終えた彼女はスーツ等をカゴに入れ、ベンチより離れ、天井からぶら下がる金具に掛けてあるサンドバックの前へと向かう。

 「・・・」

 ヒルデはグローブを身に着け、構えを取る。そしてーーー

 「・・・おのれぇぇえッッ!!」

 サンドバックを殴りに殴る。サンドバックから音が鳴る。

 バンッ バンッ
 バンッ バンッ

 ステップをしながら殴る、殴る、その繰り返し。

 何故ヒルデはこうしているのか?
 それは、…今までに溜まったストレスを発散しているのである。
 理由?…ふっ、気にするまでもないさ。

 30分が経ち、遂に終わりを迎えようとしている。…お、今終わるようだ。

 サンドバックを貫通し、破裂し詰まっていた中身が地面へと勢いよく流れ出る。
 
 ヒルデは構えを解いた。
 彼女は満足というばかりの笑顔をしている。…見惚れちゃう程に美しいのだが、その、ちょっと怖いかも。

 これにて、ストレス発散は終わりを迎えたのであった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 〈ヒルデSIDE〉
 
 あの後よりお腹が空いて街に行こうと思ったが運動(ストレス発散)でいい汗が出た私は、シャワーを浴びようと思い、風呂場にやって来た。
 そして現在はそれを行おうとしている。勿論、生まれたままの美しい姿となっているぞ。
 
 湯の温度を42度にあわせてシャワーのカランを回した。
 勢いよく水が流れ出る。勢いよい過ぎたな、少し弱めようか。

 そう時間が経たない内に、シャワーの温度が上がってきたようだ。お、温かいしちょうどよさそうだな。

 まずは身体全体を浴び始める。
 シャワーのホースを取手のように操り手足の末端から浴び始め、身体をお湯の温度に慣らしながら徐々に中心部に向かって浴びていき、最後は頭を浴びていく。

 「ふぅ〜」

 これだけでも、気持ちがよいものだな。
 では、まずは頭からだ。

 シャンプーを手に取り、手の平にツープッシュする。
 そして髪に広げて乗せ、先程より角度を浅めにした指の腹と手の平も使って泡立てる。

 きちんと頭を洗っていたからか、泡立ちは良い。
 頭皮をやや強めに擦り、髪の根元から毛先に向かって、泡を馴染ませていく。
 耳の裏辺りも、丁寧に泡で磨く。

 泡が髪の隅々に行き届いた後、もう一度、シャンプーをツープッシュ手に取り二回目を行う。
 泡が髪の隅々に行き届いた後、シャンプーを洗い流す。
   
 頭が終えたら身体を洗う。泡がよく出るボディーソープをシルクタオルにスリープッシュして泡がよく出るようタオルをぐるぐるとする。そうすることでより、泡が立つ。
 タオルを持ち手の先や脚から胸に向かって丸く円を描きながらやっていき背中の方もやっていき、足の方もやっていく。

 そして、シャワーで身体全体にある泡を洗い流す。

 コレで身体は綺麗になった。
 
 折角だから風呂に入るか。運動(ストレス発散)する前に風呂沸かしていたからな。
ちなみに風呂場の広さはスネ夫の家と同じだ。大浴場くらいある。なので10人は余裕に入る。まぁ誰も入れるつもりは無いが。

 私は湯船にと浸かった。
 温かなお湯は全身を包み込みとても気持ちいい。まるで疲れが抜けていくような気分だ。

 「ふぅ〜、気持ちいいな」
 
 湯船に浸かること20分、そろそろかと思い、湯船から出てあがる。
 身体を軽くシャワーする。

 風呂場から出る前に乾いた、大のハンドタオルで髪と身体を軽く拭いてから風呂場を出る。

 ハンガーから白バスタオルを手に取り、タオルを四つ折りに畳んだ状態にしてタオルに顔を埋めた。
 この行為はリラックス感があって好きだ。そのまま四つ折りの状態にして髪を拭いていく。
 四つ折りのまま裏返して身体を拭き、二つ折りの状態に広げ全体的に拭いていく。

 拭き終えたらハンガーに戻す。
 本来なら洗濯機にこのまま入れたいところだが外に出て夜飯を食べた後、帰ってきたら再度風呂に入るからだ。まぁ、仮に洗濯機に入れたとしても、此処の棚にはバスタオルが多くあるのだから、特に問題はないのだが。

 最後に濡れた髪をアイロンで掛ける。アイロン最高。

 ーーー5分後ーーー

 サッパリしたな♪
 さて、では外に出る準備をするか。
 
 いつもの服装をして下衿(ラペル)にフェンリルの銀エンブレムを付ける。

 持ち物は財布にウォッチにスマホにスペアポケット。
 準備は出来た、行くとしようか。

 ーーー夜の繁華街ーーー
 
 私は繁華街へとやってきたが見慣れた顔が見えた。…クリスだ。
 クリスは男の子と女の子に手を取って歩いていた。…なんだろうか?
 
 「父ちゃんっ」「パパっ!」

 兄妹はクリスの手から離れ、父親らしき人物と遭遇し駆け寄る。
 クリスは迷子の兄妹の世話をしていたのか。
 お姉ちゃんとして務めを果たしたんだな、クリス。…私はそんな歳では無いが。

 ラーメンでも食べるとするか。
 …いや、そもそも【ヒルデ】はラーメンを食すのか?
 そもそも【ヒルデ】は何を食べているんだ?

 う〜ん、分からん。全く分からん。
 まぁでも折角だ。食べてみるとしよう、予定通りラーメンを。
 
 「ヒルデっ!」

 …夜飯を食べたい。
 だが、声を掛けられてしまった。

 「クリスか」

 「久しぶりだな!」

 笑顔で話しかけるクリス。
 その笑顔の裏では何を考えているのか…もしや私を!
 私は戦慄した。街中だぞ?いや、街中以外でも駄目なのだが。
 
 流石に某森林公園での戦闘時(私以外)、私の位置が分かったのも私が居たのが気づいたのもきっと気の所為だから深く警戒しておく必要は無いだろう。
 無論、警戒は続けるが。まぁ、櫻井了子よりは大丈夫な筈。

 しかし笑顔をしているが暗い雰囲気を纏っているな、クリスは。…
 よし、離れよう。嫌な予感がする。

 「すまないが、私は急いでいるんだ。またいつか会えたら話し合おう」

 「あっ、あぁ、そう、だな…分かった。またいつかな」

 コイツと一緒に居たらフィーネとかいう女に出逢う可能性があるからな。
 そもそも奴とコイツはグル(仲間)の筈だ。あの時、奴がクリスに『あなたは必要無い』と言っていたのは、茶番の可能性がある。

 「悪いな。用事があるんだ」
 
 「そ、そうだったん、だな」
 
 拉致るなよ?
 キルするなよ?
 だからそんな顔をするな!

 私はクリスから背を向けた。
 あぁ、そうだ。これを言っておかなければ…。
 背を向けながら顔を少しクリスの方へ向けて言葉を掛ける。

 「お前の胸の内にある迷いがあるのならば、そのままにしておくなよ。大切なのは歩み寄る努力だ」

 クリスの不安要素を少しでも和らげる言葉だ。
 何について悩んで不安に思っているかは分からない。だが不安要素を和らげ無ければ此方に牙を向ける可能性がある。

 「またな」

 「あ、あぁ、また」

 そして、クリスと別れた私は、醤油ラーメンを食べて自宅へと帰宅した。
 お腹が空いていたのもあってか、とても美味かった。 
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