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コントラクト・ガーディアン─Over the World─

作者:tea4
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第一部 皇都編
  第二十二章―明かされる因縁―#7


「あれが────本当に、神からのお告げであるというのならば…、この国の言葉で告げられるのが自然だと思いませんか?」

 私の問いかけに────ファルロではなく、レド様が問い返す。

「どういうことだ、リゼ。あれは────“神託”ではないのか?」

 白炎様の存在を知っている今、あれは“神託”などではないと───断言できる。

 思い返してみても────神託を受けた教会の聖堂には、神域や【神子の座】に感じたような神性は感じられなかったし、儀式でも神が降りた気配などなかった。

「私は、この“神託”というものについて、ずっと疑問に思っていました。
そして────レド様との契約の儀で【契約魔術】を体験して…、確信しました。やはり、あれは────“神託”などではなかったのだ、と。
あれは…、古代魔術帝国の魔術なのだ────と」

 私の言外の意味を察して納得したような表情を浮かべたレド様から、驚愕しているファルロへと眼を向ける。

「貴方も、私たちの契約の儀を観覧していたはずです。手順や魔術陣が、似ていると───思いませんでしたか?」
「確かに…、似ている」

 ファルロの双眸が揺れる。

 吹っ切れたとはいえ───これまで信じてきたことが、真実ではないかもしれないということに、動揺しているのだろう。

 レド様がまたもや口を挟んだ。

「それでは、あれは才能を見る魔術なのか?」
「いいえ。私は…、あれは────前世の生業を読み取る魔術だと考えています」

 それなら────レド様の神託が“一度目の人生”と違うことも、セアラ様の神託が脆弱な身体にも関わらず“騎士”であったことの説明がつく。前世はアルドネの女商人だったエルも、神託は“商人”だったようだし。

 私のレド様への返答を聴いて、ファルロの表情が訝し気なものに変わった。

「だけど、俺は“記憶持ち”じゃないぞ?」

「ええ。覚えていないというのなら、貴方は“記憶持ち”ではないでしょう。ですが、覚えていないだけなのだと思います。この世界に生きるものすべてかどうかは判りませんが───少なくともこの国に生きる者の大半は、死んだら生まれ変わっているのではないかと思うのです。
私たち“記憶持ち”というのは───特別に生まれ変わった者なのではなく、普通なら生まれ変わるときに忘れるはずの記憶が残ってしまっている者なのではないか────と、私は考えているのです」

 私の【現況確認(ステータス)】の『忘却障害症』という記述に加え───転生していることが確実のレド様と私だけでなく、他の仲間たちも【潜在記憶(アニマ・レコード)】が検索できるのが、その証拠だ。魂魄に蓄積された潜在記憶がなければ、検索はできないだろう。

 それに、レド様は────記憶はないが転生している最たる事例だ。

「お前は…、前世では神官だったのか?」

 ファルロに訊かれ、私は首を横に振る。

「いいえ───私は、前世では成人する前に亡くなりました。ですが、私の生家は神官の家系で───私は家の習いで剣術を修め───年に二度、神に剣舞を捧げる役目を任されていたんです」
「剣術を?」
「ええ。私が、剣術を習わせてもらっていないのに、剣を振るえるのは、前世で修めた剣術を参考に鍛練をしたからです」
「そうなのか…」


「ちょっと、訊いてもよろしいですか?」

 ファルロの後ろに控えている騎士が、躊躇いがちに口を挟んだ。

「何ですか?」
「教会の聖堂と皇宮の聖堂が似ているのは認めますが────たとえ、教会の聖堂のあれが魔術陣だとしても…、魔術で神と疎通をとっているとは、考えられないのですか?」

 この騎士は、武芸に長けているだけでなく───思慮深くもあるようだ。

 私は、彼に向けて答える。

「それは───ありえないと思います。本当に神と意思疎通ができるのなら、子供の───しかもレーウェンエルダ皇国の一部の子供の才能を知るためだけにしか使わないのは、おかしいとは思いませんか?
降神祭や教皇就任の儀こそ、神の声を聴くべきではないですか?そもそも、それなら───この皇都の教会ではなく、ドルマ連邦にある教会の本部に魔術陣を設置するのではないかと思うのです。
それに───そうであるなら…、もっと教会の権威が増しているはずです」

 現在、この大陸において、教会はさほど影響力はない。

 お布施があまり集まらないから、教会のほとんどが小さくて古い上、孤児や行き場のない者にちょっと施しをする程度しか機能していないし───聖職者になりたがる者は少なく、数少ない聖職者たちは、神への信仰を広めることにあまり積極的ではない。


「子供に神託を受けさせるのは、この国だけなのか?」

 レド様には初耳だったらしい。

「ええ。この国だけ────というより、この皇都の教会でしか神託を授かることはできません。ですから、普段、自領にいる地方貴族は、子供に神託を受けさせに、わざわざ皇都までやって来るんです」

 子だくさんの弱小貴族だと、皇都に来る暇も資金もないので、不法ではあるけれど嫡男だけしか受けさせないとか、妾に生ませた子供などには受けさせないことも多いらしい。

 先程のファルロの言にあった『受けてすらいない者』が、貴族子弟であるなら、そういった事情なのではないかと思う。


「俺からも…、一つ、訊いてもいいか?」

 ファルロが、意を決したように言う。

「あれが“神託”などではなく────魔術だとしても…、“才能を教えてもらうために神託を受ける”ことは、ずっと続けられてきた習慣だ。魔術で、“才能”を読み取っている可能性もあるのではないか?あれが───その者の“才能”ではないと、何故言い切れる?」

 ファルロの問いは尤もだけど────私は、何だかおかしくなって、思わず笑みを零した。

 ファルロが眼を見開き───後ろに控える騎士が身じろぐ。

「ふふ…。先程───貴方が、ご自分で仰っていたではないですか。そちらの騎士様は、受けた神託が“木こり”であったにも関わらず、自分よりも武芸に才覚があるのだ───と」

「あ…!」

「そもそも…、“才能”とは────何を以てして言うのですか?神だとしても、魔術だとしても────何を以て…、その人の“才能”を見極めるのですか?
確かに、人には向き不向きがあり────天才と呼ばれるに相応しい才覚を持つ者はいます。ですが…、大抵の人は、そんな明確に断言できるような“才能”を持っているとは────私には思えません」

「………」

「人が何かを為すには────結局のところ…、生まれ落ちた環境や生活する環境が大きく影響し────本人が努力できるかどうかなのだと…、私は思います」

 私がそう答えると────ファルロは私の言葉を噛み締めるように、瞼を閉じる。

 そして───再び瞼を開けたときには、憑き物が落ちたような───晴れやかな表情を浮かべた。

「そうだな…。お前の言う通りだ。俺も───そう思う。騎士となって吹っ切れたとばかり思っていたが…、やはり俺は心の何処かで、神託のことを気にしていたみたいだ。だけど───これで、やっと…、神託のことなど関係ないと心から思える。俺の先行きは────俺の努力次第なのだ、と」

 ファルロは、嬉しそうに───子供のように笑みを零した。

 幼い頃───まだお互い神託を受けておらず、屈託なく笑い合えたあの頃と同じ笑みを────

「お前にとっては迷惑だったかもしれないが────今日、お前と話ができて…、本当に良かった」

「……別に迷惑ではありませんよ。私も────貴方とお話しできたことは、良かったと思っています」

 何となく面と向かって言うのが気恥ずかしくて、心持ち目線を逸らし、そう返答すると────ファルロは、もっと嬉しそうに笑みを深めた。


 しばらくファルロは嬉しそうにしていたが、不意に笑みを消した。

「だが────そうなると…、ファミラは────」

 ファルロの呟きに、応えるべく私は再び口を開く。

「……危ういでしょうね。正直、あの人は────私が見た限りでは…、“イルノラド公爵夫人が思い描くような才覚”は持っていない」

「やはり────お前も…、そう思うのか」
「ええ。以前、この国の貴族が扱う剣術が見てみたくて、庭に潜んで、貴方とイルノラド公女の剣術の訓練をこっそり覗き見ていたことがあるんです」
「…そんなことをしていたのか?全然、気づかなかった」
「ふふ、貴方の指南役であるランドさんは気づいていましたけどね」
「そうなのか…」

 目を丸くするファルロにまた笑みを零してから、私は話を戻す。

「イルノラド公女の訓練を見ていて────少なくとも剣術に関しては…、“剣姫”と呼ばれるに相応しい才覚があるとは、私には思えませんでした」

 アーシャに剣術を教えたときとは、比べるべくもない。

 アーシャは───覚えも良く、センスがあるせいか教えられずとも手合わせするだけで、自分の技量とすることができた。

 ああいうのを────“天才”と呼ぶのだと思う。

「それに、イルノラド公女は、教えを受けてもあまり学ぼうという姿勢は感じられませんでした。それなのに、手合わせで指南役に勝てないと───勝てないのは当たり前なのに…、癇癪を起こして毎回中座して───指南役を()げ替える。その繰り返しでした。
学ぶものが何もなくて、私は途中で覗き見ることはやめてしまいましたけど────もし、あの後もあんな状況を続けていたのなら…、流派など鑑みずに手当たり次第に指南役を雇っているようでしたし───あれでは、剣術を極めるどころか────基本を修められたかもあやしいです」

「俺が知る限りでも、そんな状態だった。おそらく、お前の言う通り…、基本すら危ういと思う」

 ファルロはそう言った後で────表情を陰らせた。

「イルノラド公女が…、心配なのですか?」
「……ファミラには────俺は、見下されていた。お前ほどではないにしても…、嫌な言葉も言われた。でも────それでも、ファミラは…、俺にとってはお前と同じ────妹だ」

 ファルロの場合とは違い───イルノラド公女の場合は、あの夜会でのこともある。私は、正直────あの人を助ける気にはならない。

 だけど────警告するくらいはしてもいいだろう。

 レド様に許可をもらうべく視線で伺うと、私の考えていることを察して頷いてくれた。

「それならば────気を付けた方がいい。ジェスレム皇子が狙われている可能性があります」

 今朝の私の推測が正しいならば────ディルカリド伯爵たちが狙うのは…、当然、ジェスレム皇子のはずだ。

「…どういうことだ?」

 ファルロの顔色が変わる。

「私たちも、まだ詳細を掴めたわけではありませんので、詳しくは語れません。ですが…、ジェスレム皇子が狙われている兆候があるんです。イルノラド公女が心配なら────警戒しておいた方がいいと思います」
「解った。教えてくれて感謝する。俺の方でも───調べてみる」


◇◇◇


「ルガレド殿下───お時間を割いていただき、ありがとうございました」

 塔を降りたところで、ファルロがレド様に頭を深く下げた。

「リゼが望んだから、許しただけだ」

 レド様は、ちょっと面白くなさそうな表情で、言葉を返す。

 ファルロは、レド様から私に視線を移した。

「リゼ───っすまない。ファルリエム子爵」

 そうだった。幼い頃は…、この人は────イルノラド公女のことはファムと、私のことはリゼと呼んでいた。そして、私は────

「…リゼでいいですよ。────ファルお兄様」

 何だか照れくさくて視線を外して言うと────ファルお兄様が笑った気配がした。

「リゼ…、今日は本当にありがとう」
「いいえ、こちらこそ」

 ファルお兄様はまた私に笑みを向けてから、レド様に視線を戻した。

「ルガレド殿下…、リゼを────妹を頼みます」
「お前に言われるまでもない」

 憮然として答えるレド様に、ファルお兄様は何度目かの嬉しそうな笑顔を見せた。



 北門に詰める兵士が戻って来るのを待つという二人を残して、私たちはお邸へと帰る。

 人通りがない場所まで歩き、そこで【認識妨害(ジャミング)】を発動させて、オリジナル魔術で直接お邸に跳んだ。

「お帰りなさいませ、旦那様、リゼラ様」
「お帰りなさいませ」

 私たちの帰還に気づいたラムルとハルドに出迎えられる。

 カデアは、すでに夕食の支度に取り掛かっているようだ。アーシャとラナ姉さん、セレナさんが手伝ってくれているという。

 ハルドはラムルに侍従としての仕事を習っているみたいだし、ヴァルトさんはディンド卿を誘って調練場で手合わせをしているらしい。

 先程の魔獣について皆で話し合いたいところだが、後の方がいいだろう。夕食まで時間が空いてしまった。

「私たちはどうしましょうか、レド様」
「今日は色々あったし、少し休まないか?」
「そうですね。何処に行きましょうか」
「サンルームにでも行こうか」
「いいですね」

 勿論、レド様の言うサンルームとは、レド様のお邸のあのサンルームだ。

 嬉しいことに───“拠点スペース”に収めた拠点は、外に出さなくても、利用することができるのだ。

 レド様のお邸は元々、窓は外に繋がっていないし、籠ることを前提で造られているので───“拠点スペース”に収めたままでも、利用するのに何ら問題はない。

「しかし────リゼはお人好しだな。あんな簡単に許してしまって良かったのか?」

 いつものソファに向かいながら───レド様はちょっと憮然とした様子で呟いた。

「そんな簡単に許したわけではないですよ。それに───ファルお兄様には、色々言われたりしたけれど────結局のところ、それだけでしたし…。
きっと────公爵夫人や公女のことは、ファルお兄様のようには許すことはできないと思います…」

 それ以前に、あの二人が────ファルお兄様のように、自分の言動を省みて、私に謝罪することなどありそうもない。

「そうか…」

 私は隣を歩くレド様の手を、そっと握る。

「でも────私のために怒ってくれて…、ありがとうございます、レド様」
「そんなこと、当然だろう?」

 私の手を優しく握り返し、事も無げにそう言ってくれるレド様のお気持ちが嬉しくて────私は笑みを零した。


「それにしても…、神託の件は驚いたな。リゼといると、本当に────何と言うか…、世界が変わるような気がする」

「大袈裟ですよ」
「そんなことはない。自分の存在のことも───神やエルフ、精霊のことだって────何もかも…、2ヵ月前の俺には想像もつかないことばかりだ」

 レド様は足を止めて、つられて足を止めた私に向かい合うと───額を合わせて楽しそうに言う。

「この世界には…、驚くことがたくさんありますね」
「ああ、本当に」

 私がしみじみ呟くと、レド様は笑みを浮かべて頷いた。

「これからも、まだまだ驚くことがありそうだな」
「ふふ…、そうですね」

 私たちは額をくっつけたまま────共に過ごすだろう未来を思って、笑い合った。


※※※


 ルガレドとリゼラが視界から消えると────ファルロの騎士仲間で補佐官でもある、セグル=アス・オ・ノラディスは兜を脱いだ。

「っはー…、疲れた」
「すまなかったな」
「まったくだよ。あー…、兜脱がないでおいて正解だった」

 イルノラド公爵の側近で、父であるセロム=アン・ノラディスから、イルノラド公爵家の事情を知らされているセグルは───セロムにそっくりな自分の顔を見るのは、リゼラには不快かもしれないと思い、兜を脱がなかったのだが────

「何だよ、あれ。何処が────“出来損ない”だよ。強過ぎだし、賢過ぎだし───おまけに、何あの美貌。お前らイルノラド公爵家の連中は、マジで目が節穴過ぎだろ」

 セグルの言動は主家に対するには無礼で───本来ならばファルロは咎めるべきなのかもしれない。

 だけど、セグルはファルロの側近になる予定ではあるが、まだイルノラド公爵家に仕えているわけではないので、ファルロは放っておいている。

「はは、本当にそうだな」

「殿下の態度見たか?ありゃ、マジでお前の妹に惚れてんな。笑顔向けられたとき思わず見惚れちまったら────何あの殺気。すっげぇ怖かった。おまけに、あれ────殿下の“影”か?殿下と一緒になって殺気放ってるし。本気で死ぬかと思ったわ。あー…、マジで兜脱がないで良かった。顔赤くなってるところなんか見られたら────考えるだけで怖っ!」
「赤くなってたのか」
「そりゃなるだろ!あんな笑顔向けられてみろよ、赤くなるに決まってんだろ!」
「へえ…、硬派気取ってるお前がなぁ」
「ほっとけよ!」

 まあ───セグルの気持ちも解らないでもない。

 ファルロは、リゼラに対して───公爵家を出る以前は嫌悪感しかなく、公爵家を出てからは罪悪感ばかりが募っていた。

 だが、それが消えた状態で接したら────リゼラのあの照れ隠しの表情は、ぐっと来た。

 特に───愛称で呼ぶことを許してくれたときの仕種や表情は、思わずにやけてしまわずにいられないくらいで────ルガレド殿下に凍てついた眼で睨まれてしまったほどだ。

 あのときのルガレドの眼差しは────ある程度の殺気や威圧感には耐性があるはずのファルロでも肝が冷えた。


「だけど────良かったな」
「…ああ」

 セグルの言葉に、ファルロは喜びを噛み締めながら────頷いた。


 ファルロ率いる小隊は、約1ヵ月後の辞令式に出席するべく、三日前にこの皇都に戻って来たばかりだった。

 移動疲れを癒すために昨日は休息をとり、今日は演習のために皇都周辺の森へと出向いた。

 まさか、魔獣3頭と出くわして────リゼラと再会できるとは思いも寄らなかった。

 いずれ、折を見て会いに行きたいとは考えていたが────ルガレドの今日の様子を見るに、普通に面会を申し込んでも取り次いではもらえなかったかもしれない。

 今日、会えことは────非常に運が良かったとしか思えない。


「それにしても────今日の魔獣…、あれは異常だったな」

 セグルが、打って変わって難しい表情で呟く。

「ああ…」

 通常なら、魔獣同士は殺し合い───単独でしか行動しないので、同時に複数の魔獣を相手にすることなどありえない。

 それなのに───今日の魔獣は連れ立っているどころか、互いに連携しているような動きだった。

 ファルロは、何だか嫌なものを感じ────寒気を覚える。

「念のため、殿下のことは伏せて、報告しておくか」

 ルガレドとリゼラに───今日、二人と会ったことは内密にすると約束している。

 それに───ルガレドの名を出せば、余計に上は取り合ってくれなさそうだ。まあ、ルガレドの名を出さなかったところで、取り合ってくれる可能性は低いだろうが。

 それから───ジェスレムが狙われているかもしれないという、リゼラの警告。調べてみると言ったものの、どうしたものか。


「…父上は、今、皇都に帰って来ているんだったよな?」
「ああ」
「宿舎に一度戻ってから────イルノラド公爵邸に行く」

 母であるレミラと家令のバセドには会いたくはないが────仕方がない。

 ファルロは、先程の朗らかな笑顔とは程遠い────陰りを帯びた表情で、深い溜息を()いた。
 
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