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金木犀の許嫁

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第二十九話 質素な充実その八

「お仕事もして人も見て」
「そして歴史を学んだの」
「経験も積んだことはね」 
 このことはというのだ。
「やっぱりね」
「事実ね」
「そうよ」
 紛れもなくというのだ。
「あの人もね」
「そうなのね」
「日本だと伊藤博文さんなんか」
 尚この人物は自分をビスマルクに例えられたり比較されると喜んだという。
「人生経験豊富過ぎて」
「ああ、あの人はね」
 夜空も知っていて言った。
「女の人とか留学とか河豚とかね」
「物凄いでしょ」
「飲み代でお家売ってあっけらかんとしてて」
「総理大臣の時にね」
「それで首相官邸出来たのよね」
「あの人になるとね」 
 それこそというのだ。
「漫画みたいな人生経験があったから」
「あそこまでの人になれたのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「あれだけ人生経験豊富な人そうはいないから」
「元々お百姓さんのお家で」
「お父さんがお侍さんの家に養子に入って」
「お侍になって」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「松下村塾に入って」
「吉田松陰さんの」
「ちょっといただけにしても」 
 これは吉田松陰が入牢し後に処刑されてしまったからだ、この時の安政の大獄で他にも多くの優れた人物が処刑されている。
「そこで学んで人脈も得て」
「後にですね」
「つながったのよ」
「そうでしたね」
「吉田松陰さんにもね」 
 その彼にもというのだ。
「愛嬌があるとか将来は宰相とか」
「言われていましたか」
「そして実際にね」
「総理大臣になりましたね」
「そうした人でその人生経験は」
「相当ですね」
「幕末の動乱を生き抜いて」
 そうしてというのだ。
「イギリスに留学したり水夫さんやったり」
「色々でしたね」
「大隈重信さんと政治の場で戦って」
「追い出しましたね」
「それでその後で呼び戻したりね」
「追い出してですね」
「それで大隈さんの家に入り浸って」
 彼の家が随分気に入ってだ。
「住もうとしたりね」
「物凄いですね」
「経験豊富なね」
「人生でしたね」
「見ていたら面白くて」
 そうでありというのだ。
「痛快な」
「そんな人生でしたね」
「何か悪い様に言う人もいるけれど」
 日本のマルクス史観によればだ、資本主義という搾取のシステムを確立し朝鮮半島を侵略したとなっているのだ。 
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