八条学園騒動記
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第七百六十一話 大国とはその十二
「他の人には微塵もそんな気はなかった」
「そのことも酷いわね」
「いい評価をする人もな」
「いなかったのね」
「そんな奴だったそうだが」
「それじゃあもう一人のね」
「柳田算数よりもだな」
その輩の名前を出して応えた。
「酷いな」
「そうかしら」
「そうかもな」
ダンも否定しなかった。
「正直言って犯罪者じゃなくてもな」
「同じレベルで酷いわね」
「長男だからといってな」
ダンはその輩のことをさらに話した。
「最低な母親に甘やかされたらしい」
「最低な?」
「自堕落でヒス持ちで遊んでばかりで浪費家で不平不満しか言わず執念深いな」
「ああ、母親も酷くて」
「その母親に甘やかされてな」
そうして育ってというのだ。
「そうなったらしいが」
「毒親に育てられたのね」
「それも兄弟で一人だけかなり甘やかされたらしい」
「それでそうなったのね」
「どうもな」
「毒親ってね」
エイミーはこの存在について嫌そうに話した。
「育児放棄とか虐待とか」
「問題を起こすがな」
「贔屓もするわね」
「子供さんが何人かいるとな」
「一人だけ徹底的に甘やかして」
「他の子供さんは邪険にする」
「そうした毒親もいるわね」
ダンに対して話した。
「そうね」
「それでだ」
「その人はそうした毒親に育てられて」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「そうなった」
「徹底的に甘やかされて」
「何でも五十になってもそうだったらしい」
「うわ、ないわ」
五十、それだけの年齢になっても母親に甘やかされていたと聞いてだった。エイミーは瞬時に嫌悪感に満ちた顔になって述べた。
「五十って」
「そうだな、家に来るとな」
そのどうにもならない輩がというのだ。
「傍につきっきりでな」
「甘やかしていたの」
「べたべたとな」
「そりゃ駄目になるわ」
エイミーは当然という顔で述べた。
「そんな人が親でね」
「甘やかすとな」
「そうよ、さっきお話した通りの」
「これまたどうにもならないな」
「最低って言っていい人だったのね」
「これまた好きな人がいなかった」
その母親についてもというのだ。
「誰も目を合わせようとせず顔を向けず」
「そこまで嫌われていたのね」
「声もかけなかった、どんな集まりでもな」
「親戚同士でも?」
「そうだった」
実際にというのだ。
「そんなのが親でな」
「そこまで酷くなったのね」
「その人は私も知っていますが」
セーラは顔をやや伏せて話した。
「今は餓鬼になっています」
「そうなんだな」
「我が国、ヒンズー教ではピシャーチャという」
そうしたというのだ。
「非常に浅ましい存在にです」
「なっているか」
「はい、餓鬼とはです」
セーラはミルクをたっぷりと入れた青茶を飲みつつ話した、その青茶は紅茶と似ているがまた別の味がして香りもそうであった。
大国とは 完
2024・4・24
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