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金木犀の許嫁

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第二十五話 赤い自動車その十一

「行いをしていました」
「そうだったんですね」
「共産主義が正義と考え」
「それで、ですか」
「日本をそうしようとする為に」
「それは酷いですね」
「そうした人もいたとです」
 その様にというのだ。
「私は考える時があります」
「そうですか」
「流石にあって欲しくはないですが」
 それでもというのだ。
「そう考える時もあります」
「そうはあって欲しくないですね」 
 佐京は幸雄のその話を聞いてこう言った。
「自分の国を売るなんて」
「そうですね」
「売国奴といいますね」
「はい、やはりそうした行為はです」
「許されないですね」
「そうです、イデオロギーを信じていても」
 そうであってもというのだ。
「決してです」
「行ってはいけないですね」
「如何なるイデオロギーを以てしても」 
 それでもというのだ。
「人の道があります」
「国を売ることはですね」
「決してです」
 それこそというのだ。
「あってはならないので」
「そうした行為はですね」
「絶対にせずに」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「ことを為すべきですね」
「そうです、そして真田家は代々」
「義を守っていて」
「生きてきています、ですから私も」
 幸雄自身もというのだ。
「これから何があろうとも」
「義はですね」
「守っていきたいです」
「そうお考えですか」
「その象徴がです」
「真田家の赤ですね」
「義を守り熱く燃える」
 そうしたというのだ。
「赤なんです」
「火の赤ですね」
「そうです、火の様に激しくです」
「義を守りますか」
「そうします、ですから」
 そう考えているからだというのだ。
「私は赤が好きでもあります」
「赤がお好きですか」
「その色が」
 まさにと佐京に話した。
「そうなのです」
「それじゃあですね」
 佐京はここまで聞いて言った。
「俺達も」
「義ですか」
「それを守って生きていきたいですね」
「実は難しい考えではないです」
 義を守ることとはとだ、幸雄は穏やかな声で話した。
「火世の路を外れず約束を守る」
「それだけですか」
「そうです、これといってです」 
 特にというのだ。
「難しい考えではなく」
「そうした考えですね」
「はい、ですから」
 そうであるからだというのだ。
「これといってです」
「難しく考えずに」
「約束を守ってです」
「生きることですね」
「それだけです」
「そうですか、それじゃあ」
 佐京は幸雄のその言葉を受けて言った。
「人の道を外れず」
「約束を守ってですね」
「生きていきます」
 幸雄に答えた、佐京だけでなく夜空達三人も頷いた。里帰りを前にして家に来た幸雄の車を見てのことだった。


第二十五話   完


                    2024・5・8 
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