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本当にいた駄目医者

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第二章

「どっかの政治家さんがフェイクって言ったらその通りみたいにね」
「ああ、あの人はね」
 香里はその政治家が誰かすぐにわかった。
「そうよね」
「嘘しか言わなくてね」
「いつも大声で嘘を言い回ってるわね」
「それで事実を言われたら」
「フェイクね」
「ああした人もいるけれど」
 それでもというのだ。
「漫画で描かれていることはね」
「フェイクじゃなくて」
「完全にね」
「事実だったのね」
「そうみたいよ、いや信じられないわ」  
 真理はここでもこう言ったが言葉の中身は違っていた。
「あんな人がいるなんて」
「あの漫画で描かれていること凄いしね」
「有り得ないってね」
 その様にというのだ。
「思っていたけれど」
「本当で」
「信じられないわ、医学部の六年間何やってて」 
 そうしてというのだ。
「どうして医師免許の試験合格して」
「研修もやれたか」
「わからないわ、下には下がいるっていっても」
「上には上がいるで」
「幾ら何でもね」
「有り得ない位ね」
「事実は怖いわ」
 真理はこうも言った。
「本当にね」
「世の中信じられない人もいるってことね」
「そうよ、何で医者になれたか」
「それで働けるか?」
「わからない位の人がね」
 姪に深刻な表情で話した。
「いるわね、しかしね」
「しかし?」
「私はそうした人にならない様にするわ」
 今度は真剣な顔で言った。
「絶対にね」
「叔母さんとしてはなのね」
「医者としてね、気を付けていくわ」
「こんな人信じられないって言って」
「それでこうはならないってね」
「反面教師にするのね」
「そうするわ」
 絶対にというのだ。
「本当にね」
「下には下がいて」
「その下にならない様にして」
 そうしてというのだ。
「上には上がいるから」
「その上を目指すわ」
「お医者さんとして」
「そうするわ」
 姪に強い声で言って実際にそうした、真理はそうしていったせいか医者として高い評価を得た。その心構えは家庭にも及び。
 妻としても母親としてもいいと家族から言われた、そして人として幸せに生きることが出来たのであった。


本当にいた駄目医者   完


                    2024・6・6 
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