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本当にいた駄目医者

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第一章

                本当にいた駄目医者
 最近エックスでとある医療漫画が内部告発の形で連載され話題になっている、その漫画を読んでだ。
 とある大きな私立病院で働いている女医の楠見真理、眼鏡をかけて長い黒髪を後ろで団子にしている引き締まった顔で一六〇位の背で痩せた三十五歳の彼女は兄の子で漫画家の相模香里自分そっくりだが一五五位の背でスタイルがいい長い黒髪を下ろしている彼女に言った。
「幾ら何でも有り得ないでしょ」
「この漫画?」
「そうよ、この漫画ね」 
 姪にエックスのその作品を見せつつ話した。
「幾ら何でも」
「こんなお医者さんいないの」
「ドクターエックスやブラックジャックはわからないわよ」
 創作上の名医達はというのだ。
「凄い人はいるから。けれどね」
「藪医者はどうか」
「そうよ、ちゃんと教育を受けてね」 
 医学部でというのだ、
「研修も受けるし」
「ちゃんと出来るのね」
「個人の技量や知識のレベルはあっても」
 それでもというのだ。
「こんな全く何も知らなくて」
「常識もない」
「遅刻ばかりで手術もミスばかりでお薬も診断も間違えてばかりの」
「こんな人いないのね」
「いたらね」 
 それこそというのだ。
「漫画よ」
「実際に漫画だしね」
「あんたもそう思うでしょ」
「私恋愛漫画描いてるけれど」
 高校生のだ、二十五歳の姪は自分より十歳位年上の叔母に答えた。
「世の中とんでもない人もいるし」
「こんな酷いお医者さんいるっていうの」
「そうじゃない?」
「いや、同業者で病院で働いているから言えるけど」
 真理は香里にそれでと話した。
「こんなのいないから」
「ちゃんと教育受けて研修もだから」
「そうよ、医師免許も持ってるんだし」
 このこともあってというのだ。
「間違ってもよ」
「こんな人いないのね」
「実在の人を告発していると言ってるけれど」
 それでもというのだ。
「絶対よ」
「創作っていうのね」
「有り得ないわ」
 こう姪に言い切った、兎角真理はこんな医者はいないと思っていた。だが後日彼女は姪にこう言ったのだった。
「信じられないけれどあの漫画のお医者さんね」
「実在したの」
「大学の先輩がたまたま漫画でモデルになっている病院で働いていて」
「その人いたの」
「漫画の中じゃ病院名と人名は変えられていても」
 それでもというのだ。
「実際にね」
「ああしてことしてたの」
「そうなの」
「そうだったのね」
「ああしたことをね」
 作中で行われていたことをというのだ。
「しているらしいのよ」
「現在進行形?」
「そう、医学の知識が全くなくて」
 そうであってというのだ。
「手術も出鱈目でお薬もね」
「間違えて」
「一切反省しないで遅刻も多くて」
「無断欠勤とか早退も」
「そうらしいのよ」
「漫画のことは全部事実だったのね」
「フェイクでなくね」
 そうではなくというのだ。
 
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