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金木犀の許嫁

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第二十話 大阪の実家その十

「不平に思って」
「悪口言ったの」
「義理の親御さんの」
「そんなことしたら」
 夜空は言った。
「私が言われたら」
「嫌だね」
「お父さんお母さんのこと言われたら」
 そうされると、というのだ。
「やっぱり」
「俺も」
「佐京君もよね」
「うん」
 まさにというのだ。
「やっぱり」
「そうよね」
「普通は嫌だと思う」
「親を悪く言われたら」
「けれど」
 それでもというのだ。
「その人は言って」
「離婚?」
「そう」 
 まさにというのだ。
「そうなって」
「それでなのね」
「今は一人。ただその人は他にも問題があって」
 佐京はさらに話した。
「お仕事しない、遠慮しない、感謝しない、反省しないで」
「何もなし?」
「それでよくしても」
 その人にというのだ。
「感謝しないで文句ばかりで」
「ただ奥さんの親御さんを悪く言うだけじゃなかったの」
「そう、奥さんに言うだけじゃなくて」
「自分の親の悪口言われてよく思う人いないし」
「しかも腰揉まさせられただけで」
「何でもないんじゃないの?」
 夜空はそれ位と思って佐京に答えた。
「別に」
「俺もそう思うけれど」
「その人は不満に思って」
「そんなこと言って他にもそうで偉そうにも言って」
 そうしてというのだ。
「奥さんに逃げられて」
「今はお一人ね」
「奥さんに去られても反省しないで」
 そうしたことがあってもというのだ。
「天理教のお世話になっても」
「ああ、八条分教会の」
 天理教と聞いてだ、夜空ははっとなった。そのうえで佐京にその顔を見せてそのうえで言っていった。
「あの碌でもない信者さん」
「天理教の文句ばかり言ってた」
「お仕事しないって言ったわね」
「何があっても」
「それで尊大で図々しくて」
「人のお家に急に行くと言って来て」
「ふんぞり返って来て大飯食べる」
「その人」 
 佐京もその通りだと答えた。
「まさに」
「あの人ね」
「そう、有名だよね」
「有名も有名だけれど」
「うちの学園じゃ」
「学園の傍の教会の関係者で」
「理事長さんのご一門が信者さんだから」
 佐京はそれでと話した。
「だから俺も知ってるし」
「学園で知らない人いないわね」
「もういなくなったけれど」
「あまりにも酷くて」
「今だに言われてるから」
「そうよね」
「この人はね」 
 まさにというのだ。 
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