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馬鹿が描く政治漫画

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第三章

 福島もだ、仰天して叫んだ。
「なっ、無茶苦茶評判が悪いよ」
「はい、先生の連載の中でもです」
「ダントツで悪く書かれてるよ」
「それで他の連載作品にもです」
「こんなのだと読まないとか言われてるね」
「そうです、ですから」 
 そうした状況だからだというのだ。
「あの作品はです」
「打ち切るんだ」
「それしかないかと」
「アンケートは最下位でネットでも評判が悪くて」
「他作品にも影響が出ているので」
「それじゃあ」
「今月で」
 今描いている分でというのだ。
「終わりということで」
「仕方ないね」
 福島も観念するしかなかった、雑誌という媒体で連載を持っているだけに。
「それじゃあ」
「そういうことで、それでこちらでの雑誌での連載は」
「なしだね」
「暫く、それでほとぼりが冷めて」
 それからというのだ。
「ギャグで」
「他の連載みたいな」
「それでいきましょう」
「それじゃあね」
 多くは言わず描いてだった。
 打ち切りを受け入れた、そのうえでほとぼりが冷めてからその雑誌で新連載を持ったが。
「あの馬鹿の漫画か」
「また馬鹿言うだろうな」
「面白くねえに決まってる」
「他の連載だってな」
「どういった奴かわかったよ」 
 読者達はこう言って冷めた目で彼の作品を読む様になった、人気は以前より明らかに落ちた。それはずっと続き。
 後になってだ、彼は漫画家を続けながらもその時の編集者に話した。
「政治漫画は難しいね」
「先生あの時から人気落ちましたしね」
「うん、頭がよくないと描けないよ」
 その時になって言うのだった。
「今は実感するよ」
「そうですか」
「人気は落ちたままだからね」 
 身を以て知ったと言うのだった、そして政治とは別の作品を描くのだった。


馬鹿が描く政治漫画   完


                   2023・10・14 
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