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私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー

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第5章
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 8月になって、夏休みの最初の土日は中禅寺湖でのフェスタがあって、お盆の時も日光駅前のフェスタが予定されていた。伊織利さんは地域の国立大学の体育大会が8月の初めに新潟で開催されるからと夏休みに入って直ぐに合宿していた。と言っても、学内で寝泊まりするだけなんだけど・・・。

 それで、その試合が終わったら、帰省するから、その時に私と付き合っていることをお母さんに紹介したいと言ってきた。私も、お盆の時のフェスタが終わったら、帰るから、その後ということになったのだ。でも、お金にそんなに余裕がないからと、夜中の高速バスで二人で帰ることになっていた。

 午前中に私が実家に帰った時には、お母さんは仕事に出ていて留守なんだと姉ちゃんに言われた。しばらくして、お母さんが帰って来て、私を見るなり抱きしめて

「マオちゃん 元気そうで良かったワー 半年見ないだけで 大人っぽくなったかしらー? ちょっと陽焼けしてる? お母さんはいつも心配してたのよー」

「おかあさん わかったから もう 暑苦しい!」

「あのさー 明日 縦帯さんとこ 行くんでしょ? 丁度ね マオが帰ってきたらと思って ワンピース用意していたの 着ていくといいわ」

「えぇー ウチのは?」

「織藻はいつも買ってあげてるじゃぁない マオは自分からはおねだりなんてしないからね!」と、お母さんは姉ちゃんをたしなめていたのだ。

「マオ 実はね お母さん まだ 先輩にマオのこと話してないのよー 何だか 言いにくくって それに、春から会ってないしー」

「あっ そーなんだ・・・でも・・・仕方ないよね なるようなるカナ」

「そうね で 彼とは うまくいってるの?」

「うん 会った時 最初は唖然としてたみたいだけど それからはね でも 二人ともバイトであんまり会えないの」

「ねぇ ねぇ 縦帯さんって 彼って 伊織利さんのこと あの人 宇都宮なの? 何で なんでぇー 彼? いつからぁー?」

「うるさい! 織藻は黙ってなさい! これには、いろいろとややこしい事情があるのよ!」

「うぅ・・・ なんでぇー」

「お母さん 伊織利さんのお母さんは 理解ある人だから 大丈夫よ! 最初は驚くと思うけど」

「えっ 伊織利さん? が やっぱり マオの彼なの? なんでぇーぇ 付き合ってるの? まさか 一緒に住んでるとか?」

「織藻 うるさい! あなたには 後で説明します!」と、今はお母さんは完全に私の味方だった。その後は、姉ちゃんはすねて部屋にこもってしまったが、私はお母さんとバイトの話とか学校生活の話をしていたのだ。

 次の日はもうお盆も過ぎているのに夏の太陽が照り付ける暑い日だった。お母さんが買ってくれた襟の縁が薄いピンクの糸で刺繍してあって、ひざ丈のフレァーな綿生地の白いワンピースを着て、坂道を歩いてTATEOBIの表札のチャイムを押していた。

「うん すごく 清楚な感じがする わが娘ながら 日本一 美人だわー」と、お母さんに、手土産にと栗のどら焼きを持たされていたのだ。

「まぁー 真織ちゃん どうしたの? お久しぶりねぇー あのね 生憎ね 今日はお客様がいらっしゃるのよー」と、出てきたお母さんが・・・申し訳なさそうに言ってきたが、この調子なら、まだ、伊織利さんは、そのお客様が私だってこと言っていないのだろう。

「ごめんなさい あのー ・・・」

「なんにも 謝ることじゃぁないのよー 真織ちゃんも 大学生になったんでしょ?  どこに行ってるの? 明日でも 良ければ お話聞かせてちょうだいな」

「あの・・・ですから・・・おばさん・・・私・・・ごめんなさい」

「だからね! ごめんなさいね! 実は 今日 伊織利がお付き合いしてるっていう娘さんが来ることになってるのよー 紹介したいんだって 言うもんだからー だから 今日は ごめんなさいね」と、追い返されそうになっていた。その時、玄関から出てきた伊織利さんが

「いいんだよ! 真織でー お母さん 知ってるの? この娘のこと 紹介したいのは真織だよ」

「えっ えーぇー 真織ちゃんのこと? ・・・私の昔の後輩の娘さん・・・真織ちゃんのこと? 伊織利が振られたけど、好きなんだって言っていた娘って・・・どうなってるのぉー そーいえば、私 その子のこと 前にひどいこと言ってしまったかもー」

「だからぁー 何で もっと 早く 出てきてくれないのよー」

「あー すまん すまん 可愛服着ているから、違う人かと思って お母さんの知り合いなんかなってー」

 リビングに通されて

「伊織利 なんで もっと 早く言わないのよー」

「早くったってー だから 今日 紹介しようと思って」

「・・・真織ちゃんもよ! 伊織利がウチの子だってこと知ってたんでしょ!」

「はい 言いずらくなってー ごめんなさい」

「いいの 責めてるんじゃぁ無いのよ ねぇ 伊織利のこと 振ったっていうのは ほんと?」

「ごめんなさい 私 あの時・・・伊織利さんのことは好きだったんです でも なんか ほったらかしにされてるみたいで・・・見栄張っちゃってー ひどいこと言ってしまった 本当にごめんなさい」と、伊織利さんに向かって頭を下げていた。

「だ そうよ 伊織利 真織ちゃんのこと ほったらかしにしたの?」

「違う! そんなつもりじゃぁー だってよー 急にベタベタするのも嫌がられるかなぁーって こっちこそ ごめんなさい」

「ふ~ぅん じゃぁ いいわぁー でも 良かった! 真織ちゃんなら 最高よー だって 真織ちゃんが お嫁さんになってくれたら 良いなぁーって思っていたから」

「あのぅー まだ そんなぁー」

「そっ そーよねぇー で 真織ちゃんは 学校は? 大学生?」

「はっ? はぁー」と、私は伊織利さんの顔を見ていた。この人 私のことを何て言っていたのかしら・・・何にも詳しいこと言って無いんだわー もぉー・・・

「こめんなさいね この子ったら 何にも言わないなよー 紹介したい人が居るってだけで 真織ちゃんってこと 言えば 前から知っているから ああ あの娘ねって すぐに わかるのにねぇー?」

「あのー 私 今年から宇都宮大学に・・・」

「えっ う つ の み や? ・・・どうして?」

「すみません どうしても 伊織利さんの側に居たかったんです」私は、頭を下げっぱなしだった。

「まぁ・・・もちろん そのことは慶ちゃんも知ってるよねー それで 学校で再会したわけね まぁ 驚きだわよ!」

「前に夏にお邪魔した時 伊織利さんが私のことを忘れてないんだって わかって・・・ それから悩んだんですけど・・・やっぱり・・・それで、お母さんには2学期になって すべて 話して・・・とりあえず 受験だけって・・・だけど、合格したら許してくれたんです」

「そう 本当は、手元に置いておきたいんだろうけどね 慶ちゃんも思い切ったものねぇー」

「うん 私の宝を奪われようとしているって・・・」

「そりゃー そうよね 伊織利 今度は、中途半端なことしたら 慶ちゃんに殺されちゃうよー お母さんだって許しませんからね こんな素敵な娘を泣かしたりしたら・・」

「わかってるよー だから ちゃんと こうやって紹介してるじゃぁないか!」

「それで あなた達 まさか 一緒に住んでるってこと無いでしょうね」

「そりゃーそうだよ そこまで 許してくれる訳ないじゃぁないかー 真織は女子寮だよ」

「そうよねー でも あなた達はまだ学生なんですからね 節度をもってお付き合いしてよー」

 そして、その日は無理やり引き留められて、夕ご飯まで一緒したのだ。帰りには、ちゃんと伊織利さんが家まで送ってくれて

「今日の 真織は可愛いよ その服も似合う」と、ポツンと言ってくれて、途中 駅にところには誰も居なかったので、抱き締められて唇を合わせていた。私の家に着くと、お母さんも帰って居たので、伊織利さんは私とお付き合いしていくことをちゃんとお母さんに報告してくれていたのだ。お母さんも一応安堵していたみたいだった。 
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