夢幻水滸伝
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第三百四十八話 オクラホマ州掌握その十一
「普通に戦えば負けるわ」
「確実に」
「それでどう戦うかだけれど」
「もう思い切ってな」
ガーランドは腕を組んで述べた。
「奇策でいくか」
「どういった奇策かしら」
「正攻法ではとても勝てん」
デリーロに腕を組んだまま言った。
「正面からやと防衛ラインを敷いてもな」
「実際これまで破られてきたわね」
「そやな、それでどう戦うかとなると」
ガーランドはさらに言った。
「ゲリラ戦でいくか」
「それをやるのね」
「それで敵を消耗させるんや」
「戦力的にも精神的にも」
「そうしてくか」
「あの、ゲリラ戦術は」
オコナーはガーランドが話したその戦術について怪訝な顔で言った。
「どうしてもです」
「民を巻き込むな」
「その中から攻撃するので」
「いや、そうしたゲリラ戦術はせん」
オコナーは強い声で答えた。
「軍服は来てな」
「そうして戦いますか」
「そや、そしてな」
そのうえでというのだ。
「戦うんや、地の利を活かして」
「街や村において」
「森や山でもな」
「そうして戦いますか」
「地雷や落とし穴も置いてな」
そうもしてというのだ。
「戦うんや」
「民には紛れへんですね」
「それがゲリラ戦術の怖いところやな」
「敵兵と民の区別がつかへんのが」
「それで背中から撃つ」
「それを繰り返して」
「敵の戦力にチクチクと打撃を与えて」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「精神的に追い詰めていきますね」
「そして間違ってでも民を攻撃したらな」
その様にしていきというのだ。
「思うツボや」
「その時こそ」
「そしたら民が敵軍に反感を持ってや」
「ゲリラに加わります」
「ゲリラは増えてさらに攻撃してな」
「敵はまた民を攻撃する」
「そしてまたゲリラが増える」
そうなるというのだ。
「敵からしたら悪循環や」
「その事態に陥りますね」
「そやからな」
そうなるからだというのだ。
「戦力差が圧倒的な敵には強い」
「あたしご先祖がスペイン系だから知ってるわ」
デリーロはガーランドの話ににこりともせず応えた。
「ナポレオンにやったわね」
「スペインがな」
「そしてナポレオンをとことん苦しめたわね」
「そやったな」
「それがナポレオン没落の原因になったわ」
スペインの潰瘍がフランスを滅ぼした、ナポレオン自身の言葉だ。
「そうなったわ、けれどね」
「この戦術はな」
「とんでもないことになるわよ」
「敵軍が民を攻撃するさかいな」
「それも神出鬼没で攻撃されて憎しみを抱いてね」
「そうもなってな」
「泥沼化する」
敵軍と民衆が殺し合う事態になるのだ、それも惨たらしく。そうした状況をゴヤがおぞましいタッチで描いている。
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