金木犀の許嫁
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第十六話 節度のある人その四
「信玄公の奥さんすぐにお亡くなりになったから」
「何か妊娠中によね」
「そう、当時はよくあったけれど」
「妊娠中の人って体調がね」
「崩れやすくてね、というか奥さんも子供でね」
「信玄さんと同じ様な年齢で」
「子供で妊娠はね」
それはというのだ。
「物凄く危ないから」
「お亡くなりになったのね」
「まだ身体出来てなくて」
例え初潮を迎えてもだ、妊娠と出産には相応しい年齢というものが存在しているということであるのだ。
「そのせいでね」
「お亡くなりになったのね」
「それで再婚されたのよ」
「後になって」
「そうよ。ただ信玄公美少年も好きだったから」
山梨の娘はこの話もした。
「高坂弾正さんがね」
「お相手だったのよね」
「当時は全く普通だったから」
日本では古くからでもっと言えば現代でもそうした性的嗜好というだけで終わる話である。間違っても犯罪にはならない。
「誰もね」
「言わなかったわね」
「ただ浮気して」
他の男の子にだ。
「それで釈明のお手紙書いてるわ」
「ああ、それ聞いたことあるわ」
真昼は笑って答えた。
「信玄さんこんなことしてたのって」
「ええ、ちなみにライバルの謙信さんもね」
「そっちの趣味あったわね」
「信長さんも政宗さんもね」
「当時は滅茶苦茶普通だったからね」
「信玄公もよ」
この人もというのだ。
「十代前半で結婚されて」
「美少年もお好きだったのね」
「そうよ。けれどモンゴメリーさんは」
「当時はかなりのね」
「晩婚だったのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「あの人はね」
「だったらね」
「真昼ちゃんも何時かなのね」
「結婚出来ればいい」
「そうした考えなのね」
「一生独身でもね」
それでもとだ、真昼はクラスメイト達に話した。
「別にね」
「いいのね」
「例えそうなっても」
「それでも」
「もうこれは出会いだし。それにね」
真昼はさらに話した。
「ほら、遠井さんね」
「ああ、あの人ね」
「今は素敵な彼女さんおられるけれど」
「滅茶苦茶酷い失恋したしね」
「うちの学校じゃ有名だしね」
「あのお話は」
「あんな酷いことになるなら」
それならというのだ。
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