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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその十三

「連合だけでなくエウロパでもマウリアでもだ」
「働いてもらっていますね」
「多額の報酬を支払ってな」
 その漫画でそうされている様にというのだ。
「そうしている」
「現実としてそうですね」
「そうだ、ギルフォード総統こそ連合から見てだ」
「あのスナイパーに仕事をしてもらいたい人物はいないですね」
「どうしようもない敵に対する有効な手段の一つだ」
「暗殺は」
「それは事実だからな」
 とはいっても八条自身は暗殺を使うことはない、買収なりそうした謀略の類とは全く無縁の人物である。
「だからな」
「連合中央政府の高官のどなたか」
「各国政府も有り得るし民間の人でもだ」
「あの御仁を憎む人は多いので」
「それでだ」
「報酬を払ってですね」
 多額のそれをというのだ。
「働いてもらう」
「そうしてもらう筈だ」
「ですが実在しないので」
「それは出来ない、現実連合はギルフォード総統にはな」
「何も出来ないですね」
「おかしな情報を流す位しかな」
 ある程度事実に基づくものもあればそうでないものもある。
「ない」
「それが関の山ですね」
「しかし不確かな情報なぞだ」
「すぐにわかりますね」
「例えば選挙で不正があると主張する」
「それで相手を攻撃するのなら」
「証拠を出さないとだ」 
 選挙が不正であるそれをだ。
「それも確かな、な」
「捏造や印象操作ではなく」
「そうしたものを出さないとだ」
「見破られますね」
「確かな根拠がないなら謀略も失敗する」
「不確かな情報を流しても」
「人は確かに噂に惑わされる」
 これもまた人間の一面である、この時代でも根拠の不確かな情報に人間は惑わされてしまっている。人間はある意味において残念ながら進歩しない生物でもあるのだ。
「しかしだ」
「やがては見破られますね」
「惑わされる人もいればな」
「惑わされない人もいますね」
「大カトーの演説もだ」
 彼が演説に使った無花果を食べつつ話した。
「頷かない議員もいた」
「元老院において」
「やはりな、大カトーの演説には根拠があった」
「カルタゴの力ですね」
「それは確かに将来ローマの脅威になり得た」
「それが根拠ですね」
「根拠のあるものでも信じない人がいる」
 そういうものだというのだ。
「そしてだ」
「根拠のないものは」
「まともな人は信じない」
「幾ら流しても」
「その都度見破られてな」
 その情報が偽り即ちフェイクニュースとだ。
「多くの人にわかる、何度もそうしたニュースが続くと」
「殆どの人がですね」
「信じなくなる」
 そうなるというのだ。 
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