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夢幻水滸伝

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第三百四十四話 奇策破りその六

「これは」
「そうですね」
「これではですね」
「もうですね」
「我々としては」
「ええ、この街に十万の兵を持って来たけれど」
 その彼等がというのだ。
「もうね」
「三万は倒されました」
「銭湯不能になりました」
「敵軍の圧倒的な攻撃の前に」
「そこまでの損害に達しています」
「これ以上の戦闘は無理ね」
 苦い顔で言うのだった。
「とても」
「左様ですね」
「それではですね」
「これ以上はですね」
「無理よ」
 とてもというのだ。
「戦えないわ」
「後方攪乱や基地に潜入しての破壊を考えていましたが」
「地雷原も用意して」
「中にはトウェイン様の襲撃も考えていましたが」
「デリーロ様ご自身によって」
「そうしてたけどね」
 それがというのだ。
「ほんまね」
「それがですね」
「どうにもなりませんでしたね」
「全て実行に移す前に攻められて」
「押し切られそうですね」
「ええ、これはね」
 将兵達に苦い顔で答えた。
「そうなるわ」
「それではですね」
「奇策よりもですね」
「ここは」
「守るわ。これがトウェインさんの狙いでしょうけれど」
 このことはデリーロも読んでいた、彼も愚かではない。むしろ非常に頭の回転がいいから読んだのだ。
「けれどね」
「そうするしかないですね」
「この状況では」
「そうよ、突き進んでくる敵軍の前に幾重にもね」
 その様にしてとだ、デリーロは苦い顔で話した。
「防衛ラインを敷くわよ」
「街の大通りを進んできますが」
「突破した東の城門から街中央に向けて」
「その敵軍にですね」
「向かうわ」
 こう言って自身が陣頭に立ってだった。
 デリーロは戦車を前に出しバリケードや鉄条網を即席であるが敷き置けるものを全て前に置いてだった。
 防衛ラインを敷くことを命じた、そのうえで。
 サンダーバードに乗りこちらに来るトウェインの前に出てだ、彼に言った。
「やられました」
「今回はか」
「色々奇策を考えてたんですけどね」
「こっちも対策を用意してたけどな」
「最大の対策としてですね」
「攻めたわ」
 サンダーバードの背に立って言うのだった。
「この通りな」
「攻撃は最大の防御であり」
「奇策への一番の対策はな」
「使わせへんことですね」
「その結論に至ってな」
 それでというのだ。 
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