オズのヘンリーおじさん
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第十一幕その二
「深海魚なのよ」
「あそこにいるな」
「そうね」
お二人は海底の砂のところにいる鮟鱇を見付けました、それで言いました。
「岩みたいに動かないわね」
「頭にある細長い部分の先が光っているな」
「何かランプみたいね」
「面白いな」
「そうでしょ、それであの生きものがね」
その横のダンゴムシみたいな生きものも観て言います。
「ダイオウグソクムシだよ」
「聞いたことがあるな、殆ど食べないんだな」
「それで生きているのよね」
「私達は三食食べているけれど」
それでもというのです。
「ダイオウグソクムシはずっと食べなくても平気なのよ」
「本当に不思議よね」
ベッツイは首を傾げさせて言いました。
「かかしさんや樵さんならわかるけれど」
「そうよね」
ドロシーも確かにと頷いて応えました。
「食べる必要のない身体だとね」
「わかるけれど」
「私達と同じでね」
「食べる必要のある身体だから」
「それで食べないって」
「不思議なことよ」
「外の世界にもいるらしいけれど」
トロットもどうしてなのかしらとなっています。
「そちらでもそうらしいわね」
「そうらしいわ」
ドロシーはトロットに答えました。
「あの生きものはね」
「何ヶ月どころじゃなくて」
「本当にずっとらしいから」
「不思議よね」
「外の世界でもそうなんて」
「世の中不思議が一杯ってことかな」
ハンクはこう言いました。
「オズの国も外の世界も」
「そうね、オズの国はそれこそね」
「お伽の国だからね」
「不思議が一杯で」
それでというのです。
「何でもだけれど」
「外の世界でもだね」
「オズの国と同じで」
「不思議が一杯だね」
「そしてダイオウグソクムシはね」
「オズの国で不思議で」
「外の世界でもなのよ」
そうだというのです。
「そうした生きものなのよ」
「そうなんだね」
「ええ、結局ね」
こうも言ったドロシーでした。
「どの世界も不思議に包まれていて私達がわかっていることは」
「その不思議のほんの一部だね」
「そうなのよ」
「ドロシーの言う通りだね」
まさにとです、キャプテンは答えました。
「わし等は何でも知っていてわかっているか」
「違うわよね」
「今自分達がいる国のこともだよ」
そのオズの国にしてもというのです。
「知っていることといったら」
「ほんの一部ね」
「そうなのだよ」
こう言うのでした。
「本当にね」
「そうよね」
「だからね」
それでというのです。
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