金木犀の許嫁
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第九話 忍者は人を殺さないその七
「いるでしょ、人がやると言ったら変な顔で嘲って無理だと馬鹿にする人」
「はい、嫌な奴ですね」
「そんな奴がどうなるか」
「碌な奴にならないですね」
「昔知り合いの人を高校時代受験でなそう言って馬鹿にした人がいたそうだけれど」
「どうなったんですか?」
「知り合いの人は一浪して現役時代の志望校より上のランクの大学に進学して」
真昼はまずは知り合いの人のことから話した。
「卒業して今は真っ当に生きておられるわ」
「その人はいい感じですか」
「そしてその人がたまたま自分を嘲笑った人にその人の地元ですれ違ったのよ」
「たまたまですか」
「お互い車で、けれどその人は見たのよ」
知り合いの人はというのだ。
「すれ違った車の運転席にその人がいて」
「凄いたまたまですね」
白華も聞いて驚いた。
「それはまた」
「そうよね、それでね」
真昼はさらに話した。
「その人の両手首に入れ墨あったのよ」
「入れ墨ですか」
「そう、それがね」
「入れ墨入れるって」
それだけでだ、白華はわかった。そのうえで真昼に話した。自然とその顔は強張って嫌なものを語るものになっていた。
「絶対にまともじゃ」
「それも見える場所でしょ」
「手首ですから」
「暑い季節で半袖だったから」
「見えたんですね」
「見える場所に入れ墨入れてたら」
「まともに就職出来ないですよね」
真昼に真顔で話した。
「絶対に」
「ええ、普通の会社にはね」
「就職出来ないですね」
「まずね」
「例え就職しても夏にわかって」
「クビでしょ」
「在宅ワークならいけますが」
白華はそれでもと話した。
「普通にはです」
「真っ当に生きていけないわね」
「まともな人にならなかったんですね」
「それも結構大きくて目立つ派手なものだったらしいわ」
「ワンポイントとかでなく」
「そうよ」
そうした入れ墨だったというのだ。
「これでわかるでしょ」
「よく」
「それが人の挑戦や努力を嘲笑う人がなるものよ」
「人を嗤うだけで努力しなくて」
「どんどん人間として落ちていって」
「挙句はそうなったんですか」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そうした人のお話を聞いたから」
「だからですか」
「そんなことはしない様にね」
「されていますか」
「人が勉強していてそんなことしても一緒ともね」
そうしたこともというのだ。
「言わないから」
「そんなことはしないことですね」
白華は真顔で応えた。
「本当に」
「ええ、人を嘲笑うとね」
そうすると、というのだ。
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