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夢幻水滸伝

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第三百四十話 もう一つの勢力その五

「あたい達としてもアメリカ、東のメルヴィルちゃん達とも結んでるし」
「揉めたくないか」
「ええ、少なくとも暫くはね」
「暫くはか」
「状況が変わればわからないでしょ」
「ああ、それはな」
 トウェインもその現実はわかっていて硬い表情になって頷いた。
「その通りやな」
「そやからね」 
 だからだというのだ。
「暫くは、よ」
「そういうことやな」
「それで暫くの間はね」
「お互いに揉めたくないな」
「ええ、そやからね」
「そちらとしてもやな」
「結びたいわ」
 中立条約をというのだ。
「そうしたいわ」
「ほなそういうことでな、それでな」
 トウェインは彼の望みをさらに話した。
「パナマ運河の通過もな」
「認めて欲しいのね」
「ああ、ええか」
 このこともというのだ。
「よかったらな」
「いいわよ」
 アレンカールは笑顔で快諾した。
「あれでしょ、戦をするんでしょ」
「それは」
「言わないわよね、言うけれど相手もね」
 その相手が誰かは察していたがそれを言わずに言うのだった。
「いいって言うわよ」
「中立条約結んだらか」
「こっちはあくまで中立だから」
 そうした立場だからだというのだ。
「ええわよ、お互いね」
「それで勝手にやってろか」
「そういうことよ、そっちのことは今はどうでもええから」
「中南米はか」
「そうよ、そっちはそっちでね」
 アメリカでというのだ。
「やってね」
「そうか、ほなな」
「パナマ運河はいいわよ、それで貿易やものの売り買いはええけど」
 そうしたこともいいというのだ。
「基地はね」
「使われへんな」
「中立条約であって友好条約やないでしょ」
「軍事同盟でもないわ」
「それやとね」
「基地は使われヘんな」
「両方ね」
 ここでも相手が誰かは言わなかった。
「そうよ」
「そういうことやな」
「ええ、そしてね」
 それでというのだ。
「やっていってね」
「スエズ運河の通過とやな」
「ものの売り買いはね」
「ええんやな」
「食べものとかなら幾らでも売るわ」
 軍隊の糧食であることも言わなかった。
「そういうことでね」
「やっていくな」
「ええ、それでいいわね」
「ああ、そういうことでな」
「あんたも頑張ってね」
「お互いにやな」
 二人は笑顔で言葉を交えさせた、そうしてだった。
 会談で条約の細部の話をしてそれが終わってからアレンカールはブラジルに戻った。それを受けてだった。 
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