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仮面ライダーAP

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黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第21話

 
前書き
◆今話の登場ライダーと登場人物

◆コンラッド・リンネア/仮面ライダーSPR-15ガトリングスパルタン
 北欧某国の陸軍大尉であり、精鋭陸戦部隊「マルコシアン隊」の隊員。中東出身の元傭兵であり、命の恩人であるジークフリートに借りを返すためにマルコシアン隊に身を置いている。面倒臭がりな無頼漢だが情には厚く、7歳になる一人娘のエメラダや仲間達を護るため、進んで死地に身を投じている。彼が装着するガトリングスパルタンは、黒と灰色を基調としている重装甲の機体であり、両腕のドラムマガジン式ガトリング砲と両肩に装備したガトリングキャノンが特徴となっている。当時の年齢は36歳。
 ※原案はエイゼ先生。

◆エメラダ・リンネア
 マルコシアン隊の隊員であるコンラッドの一人娘。自身が通っていた学校に、クラスメート達と共に避難していた。物静かで心優しい美少女であり、父であるコンラッドを慕っている。当時の年齢は7歳。
 ※原案はエイゼ先生。
 ※12年後に新世代ライダー達と共闘する北欧編のヒロインの1人。
 

 
 グールベレーの中でも「上位」に位置する、真の精鋭達。彼らを相手取ることになった一部のスパルタンライダー達は、一際苦しい戦いを強いられるようになっていた。それに加えて「不利な場所」での戦いともなれば、まさに絶望的と言わざるを得ないだろう。
 ただでさえ手強い相手だというのに、地理的な面でも不利という状況となれば、ますます勝利からは遠のいてしまう。だが彼らは、それでも自分を信じて戦い続けるしかないのだ。

 ――例え。その「一騎打ち」の舞台の一つが、大勢の子供達が避難している市内の学校であっても。

 ◆

 エンデバーランド市内の学校。有事の際の避難所として指定されていたその敷地内にグールベレー隊員が現れたのは、数十分ほど前のことだった。力無き子供達が集められている学校に、幹部怪人すら凌ぐ上級戦闘員が出現してしまったのだ。
 両腕と両肩に大型のガトリングガンを搭載している、火力の化身。そのような姿で現れたシェードの改造人間を前に、学校中が阿鼻叫喚の地獄と化したことは言うまでもないだろう。子供達は悲鳴を上げ、逃げ惑うしかなかった。

 圧倒的な火力にモノを言わせた、一方的かつ凄惨な虐殺。それが現実の光景となる直前に、1人のスパルタンライダーが颯爽と駆け付けて来たのだが――そのスパルタンも、ほどなくして劣勢に陥っていた。
 この学校に現れたグールベレー隊員はスパルタンと対峙しつつ、校舎を背にした位置取りを維持していたのである。自分の所に現れたスパルタンが、自身の「下位互換」――つまりは同質の遠距離戦タイプであることを見抜いた上での戦略だったのだ。

 当然、スパルタン側の射撃が外れれば校舎に着弾してしまう。下手をすれば、校舎内で身を寄せ合っている子供達に危害が及びかねない。「手数」にモノを言わせるガトリングガン同士の撃ち合いとなれば、そのリスクは一気に跳ね上がる。

 となれば――スパルタン側に打つ手はない。ここに現れたグールベレー隊員と同じ、ガトリングガンを主武装とする彼は為す術もなく、一方的な射撃によって蜂の巣にされていた。マッシブなシルエットを描いている彼の黒い装甲は、無惨なほどに傷付いている。足元に滴り落ちている鮮血が、傷の深さを物語っていた。

「……ふざけやがって、ここをどこだと思っていやがる。てめぇらシェードの腐り切った目ん玉には、わざわざ改造人間の力でブッ壊しに来なきゃいけないような施設にでも見えてるのか?」

 スパルタンシリーズ第15号機「SPR-15ガトリングスパルタン」。その外骨格で全身を固めているコンラッド・リンネア大尉は、仮面の下で忌々しげに口元を歪めていた。
 圧倒的に不利な状況に立たされ、一方的な銃撃を浴び続けているというのに、その表情に恐れの色はない。あるのはただ、卑劣な改造人間に対する怒りのみであった。

 「仮面ライダーBLACKRX」の一形態である「ロボライダー」。そのメカニカルな姿を想起させる外骨格は黒と灰色を基調としており、脚部と両腕に増加装甲を施している。さらに両腕にはドラムマガジン式のガトリングが、両肩にはガトリングキャノンが搭載されていた。薄い赤色の複眼は妖しい輝きを放っており、装着者(コンラッド)の「怒り」を物語っている。

(……悪いな、隊長(ボス)。18年前の湾岸戦争であんたに拾われて以来、長く付き合って来たが……俺もここまでかも知れねぇ)

 かつて中東出身の傭兵だった彼は18年前の1991年頃、湾岸戦争の戦地で敵同士として出会った当時のジークフリート・マルコシアンに敗れ、命を救われたことがあった。それ以来、「借り」を返すためにマルコシアン隊に身を置き続けて来たベテラン兵士である彼も、「覚悟」を決める必要に駆られていた。

 鴉羽のような癖のある黒髪と褐色の肌、切れ長の薄紫色の眼。そして、道行く女性が必ず振り返るほどの美貌。そのルックスもあり、若い頃は何人もの女性と浮き名を流して来たコンラッド。そんな彼も、ジークフリートに連れられてこの国に来てからは1人の女性と真剣な愛を育み、一児の父となった。

(エメラダ……)

 そのたった1人の愛娘――7歳になるエメラダ・リンネアも、この学校に避難している子供達の1人なのだ。父譲りの黒髪を靡かせる彼女は、心配げな表情でガトリングスパルタンを校舎の窓から見守っている。

 漆黒の鎧を纏った機械仕掛けの騎士。それが自分の父であるとは知らぬまま、褐色の美少女はか細い指を絡ませ、騎士の勝利と生還を祈り続けていた。
 相手の素性を知らずとも、その行動から善人であると判断し、応援する。そんな愛娘の優しさを目にしたコンラッドは、仮面の下でふっと微笑を溢していた。

(……済まねぇな、エメラダ。不甲斐ない父親でよ……!)

 最愛の妻をこの戦火で失ったコンラッドにとって、エメラダはまさしく最後の希望。断じて傷付けることなど許されない。そしてそうであるからこそ、コンラッドも引き金を引くことが出来ずにいる。

「ここをどこだと思っている……か。実にナンセンスな質問だな」
「なに……?」
「軍事施設であろうが……そうであるまいが、俺達には関係のないこと。この街の全てが俺達の破壊目標であり……容易く狩れる獲物なのだ。ガキだろうと兵士だろうと、俺達に言わせればさしたる違いは無い。無論、貴様達のような鉄屑も含めてな」

 そんなコンラッドことガトリングスパルタンを嘲笑い、グールベレー隊員は口角を釣り上げている。勝利のために非情になることが出来ず、それを補えるだけの力も持たない愚かな人間。その象徴たるスパルタンライダーを見つめる彼の双眸は、侮蔑の色に満ちていた。

「……人間の身体を捨てたから、そんなイカれた思想に染められちまったのか。あるいは、根っからのクズなのか。いずれにせよ、てめぇのようなド畜生を生かしてはおけねぇな」

 一方、ガトリングスパルタンもそんなグールベレー隊員の言葉に対し、仮面の下で冷ややかな表情を浮かべている。身体以上に、心まで怪物と成り果てているグールベレー隊員。その男の言葉を耳にした彼は、一周回って逆に冷静になるほどの、研ぎ澄まされた義憤を覚えていた。
 刺し違えてでも、この男だけは倒さねばならない。そう固く決意させるほどの怒りと殺意が、コンラッドの精神をそれ一色に染め上げて行く。そんな彼の蛮勇を、グールベレー隊員は冷たく嘲笑していた。

「生かしてはおけん? ふっ、はははははッ! まるで生殺与奪をそちらが握っているかのような言い草だな! 身の程知らずもここまで来ると傑作だ! ろくに撃ち返すことも出来ず、一方的に蜂の巣にされている半死半生の分際で!」
「……そうなるように仕向けておいて、白々しいにも程があるぜ。だが……てめぇの下衆な人質作戦もここまでだ。そろそろ……終わりにさせて貰うぜ」
「ほう? 校舎を背にしているこの俺に対して、その火力を解放するというのだな? 良かろう良かろう、撃ってみるがいい。大勢のガキ共を巻き添えにしながら……な?」
「……」
「俺としては一向に構わんのだぞ? 俺の装備の『下位互換』とはいえ、貴様の機体もなかなか侮れぬ火力を秘めている。それらを全く活かせぬままでは、貴様とて死んでも死に切れまい?」

 コンラッドの憤怒とは裏腹に――彼の外骨格(ガトリングスパルタン)の銃身は、まだ熱を帯びていない。熱を帯びるほどの火力を、まだ解き放っていない。そんな「下位互換」の醜態に冷笑を向けるグールベレー隊員は、どうせ何も出来ないとタカ(・・)を括っていた。

「……!」

 だが彼は、すぐにそれが誤りであったことに気付く。どっしりと腰を落として身構えたガトリングスパルタン。その所作から本気の気迫を察知したグールベレー隊員は、「終わりにさせて貰う」という先ほどの言葉が強がりの類ではないと悟る。

(……奴の全身から迸る殺気が、より鋭利なものに変わった。躊躇いを捨てた戦士だけが発し得る、殺意のオーラだ。間違いない……奴は次の「一手」で、確実に撃つ(・・)。良いだろう、今度こそ本当の「一騎打ち」だ……!)

 ガトリングスパルタンの構えから見て取れる、コンラッドの「覚悟」。それが本物であると見抜いたグールベレー隊員は好戦的な笑みを浮かべ、自身もガトリングを構える。ここからようやく、昂るような「撃ち合い」が楽しめるのだと期待して。

「……おおぉおおぉーッ!」
「なッ……!?」

 しかし次の瞬間、その期待は裏切られた。ガトリングスパルタンは全身の銃火器を使うと見せ掛け、真っ向から突進し始めたのである。先ほどまでの腰を落とした姿勢は、射撃の反動に耐えるためではなく、勢いよく走り出すための構えだったのだ。

(発砲もせずに突進だと!? 今の殺気はブラフだったとでも言うのか!? ええい、ここまで来て勝負を捨てるとは何と愚かなッ!)

 思わぬ挙動に瞠目するグールベレー隊員は、虚を突かれたことで僅かに対応が遅れてしまう。それでもすぐに気を取り直した彼はキッと目を細め、ガトリングガンの引き金を引いていた。
 両肩と両腕に搭載された銃砲。その全てが火を噴き、弾丸の豪雨がガトリングスパルタンに襲い掛かる。真正面からその弾雨を浴びせられた漆黒の騎士は、徹底的なまでに「蜂の巣」にされていた。

「うぐッ、あッ……あぁあああぁッ!」
「……何故だ! この期に及んで、何故撃たんッ! 分かっているのだろう!? 貴様がいくら命を投げ出そうとも……貴様が倒れれば、その次にあの学校のガキ共が死ぬだけ! 貴様がしているのは、子供を傷付けまいという自己満足の愚行でしかないッ! 自分の手を汚す覚悟も無いというのかッ!」
「学校まるごと人質にしてるようなクズ野郎が……覚悟を語るんじゃねぇッ! 心配しなくたって、俺は倒れやしねぇよッ!」
「なにィッ……!?」
「娘を守るために、命を張る父親ってのは……いつだって最強なんだからなぁあぁああッ!」

 しかし、どれほど傷付こうともガトリングスパルタンは止まらない。愛娘(エメラダ)をはじめとする子供達を守るため、彼は弾雨を浴びることも顧みずに進み続ける。
 銃弾の豪雨を真っ向から食らい続けてもなお、血に塗れて猛進する不死身の男。その鬼気迫るガトリングスパルタンの姿に、グールベレー隊員は初めて戦慄を覚えていた。

「避けてろよガキンチョ共ッ! ちょっとばかし、『お邪魔』するかよおぉおーッ!」
「うごおぉおおぉおおッ!?」

 やがて――ついに至近距離にまで到達したガトリングスパルタンの機体が、グールベレー隊員に激突する。両者の身体はそのまま止まることなく、校舎に向かって進み続けていた。
 ガトリングスパルタンの雄叫びに突き動かされ、進路上に居た子供達が蜘蛛の子を散らすように離れて行く。次の瞬間、校舎の壁を突き破った両者の身体が、建物内へと転がり込んで来た。

(射撃戦に特化した機体で、体当たりだとッ……!? この男、一体何を考え……ハッ!?)

 校舎内へと突き倒されたグールベレー隊員は、馬乗りの体勢でのし掛かられたまま動けなくなっている。大量の銃火器を積んだガトリングスパルタンの重量はかなりのものであり、彼の膂力でも容易くは退かせない。
 そんな彼を見下ろすガトリングスパルタン――コンラッドは、仮面の下でニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。鮮血に塗れたまま微笑を浮かべるその貌は、妖しげなほどに美しい。

「重てぇ装備を着てると、お互い苦労するよなァ。こんなに鈍重じゃあ、のしかかられた時が大変だッ……!」
「き、貴様ッ、まさかッ……!」
「……この距離と角度なら。絶対に外れもしねぇし……巻き込みようがねぇだろ?」

 ガトリングスパルタンの言葉から彼の意図を察したグールベレー隊員は、ハッと顔を上げてその場から逃れようと身を捩る。しかし、ガトリングスパルタンの重量感溢れる機体はテコでも動かない。

 ――射線上に子供達が入るから撃てない。ならば、射線上に入らない体勢に持ち込めば良い。そこに到達するまでにどれほど傷付こうが、撃てさえすればこちらのもの。

 その無謀な狙いこそが、コンラッドの真意だったのだ。しかし、不意を突かれたグールベレー隊員の対応が遅れてさえいなければ、この状況に持ち込む前にコンラッドの方が先に力尽きていただろう。その僅かな一瞬が、この一騎打ちの明暗を分けたのだ。

「……あばよ、ゴミ屑」

 これほどの至近距離からの一斉射撃ならば、上位互換だろうと関係ない。これまで浴びせられた分を全て「倍返し」するかのように――ガトリングスパルタンの全火器が、一気に火を噴いた。

「ぐおぉおおッ、あぁああッ……! あ、あり得んッ……! こんな、こんな馬鹿なことがァァアッ……!」

 避けることも防ぐことも許さない、一方的かつ凄惨な蹂躙。それはまさに、グールベレー隊員がやろうとしていたことに対する意趣返しであった。猛烈な銃声が辺りに響き渡り、その轟音がグールベレー隊員の断末魔を掻き消して行く。

 ――やがて、グールベレー隊員が事切れた後。ようやくその場から離れたガトリングスパルタンは、敵の骸を一瞥もせずに踵を返して行く。人を殺したとも思っていない。文字通りの「ゴミ屑」を一つ始末しただけ、と言わんばかりの佇まいだった。

「……全く、手こずらせやがって。こりゃあ、早く他の連中に加勢しねぇとヤバいかもな……」

 両肩と両腕のガトリング砲。その銃口からは、激しい銃撃による硝煙が立ち昇っている。その煙を目にしたガトリングスパルタンは、今も他のグールベレー隊員達と戦っている仲間達の身を案じていた。
 早く仲間達と合流しなければ、さらに犠牲が増えかねない。そう危惧する彼は傷付いた身体を引き摺り、鮮血を滴らせながらも学校から立ち去ろうとする。そんな彼の背中を、子供達は怯え切った表情で見送っていた。

「……」

 子供達から向けられている、恐怖の視線。それを背中から感じ取っていたガトリングスパルタンは、早くここから去らねばと足を早めていた。子供達の態度を責める気など毛頭ない。むしろ子供達の意を汲み、一刻も早くこの場を離れようとしている。

 ――こんな事態に巻き込まれて、怖がるなという方が無理な話だ。お望み通りさっさと消えてやるから、お前達は何としても生き残れ。
 背中でそう語りながら、コンラッドは血みどろになりながらも歩き続けている。やがて、学校の入り口前に停めていたスパルタンハリケーンに跨った彼は、手早くエンジンを始動させていた。

「……パパ?」
「……」

 その時。今まさに愛車で走り出そうとしていたガトリングスパルタンの背に、聞き慣れた愛娘の声が掛かる。顔が見えずとも、先ほどの叫びや子供達に対する姿勢から、父であることを薄々察していたのだろう。

「もしかして……パパ、なの?」

 おずおずと声を掛けて来た、褐色肌の可憐な少女――エメラダ。彼女は恐れることなくガトリングスパルタンの機体に歩み寄り、愛する父の身体に手を伸ばそうとする。
 だが、その指先がガトリングスパルタンのボディに触れる前に。スパルタンハリケーンのマフラーが火を噴き、その車体が走り出してしまった。

「あっ……!」

 瞬く間に目の前から走り去ってしまうスパルタンハリケーンと、ガトリングスパルタン。その背中にか細い手を伸ばすエメラダが、悲しげな声を漏らしていた。
 それを聞き取ってもなお、ガトリングスパルタンは――コンラッドは止まることなく、学校から、愛娘の前から消え失せて行く。

(……済まねぇな、エメラダ。ここで振り返っちまったら……俺はきっと、仲間達のところに戻れなくなる。今だけは……そうなっちゃいけねぇんだよ)

 後ろ髪どころか、魂まで引かれるような思いだった。出来ることなら今すぐにでも引き返して、仮面を脱いで、愛する娘を抱き締めてあげたかった。このような戦いからも、降りてしまいたかった。
 僅かでも振り返れば、自分の心は必ずその道に傾いてしまう。そうと分かり切っていたからこそ、コンラッドは止まることも、振り向くことも出来なかったのだ。

(もう2度と……お前と一緒には居られないかも知れない。お前がいつか、大人になるまでは……俺に代わってお前を守り抜いてくれるような、イイ男に巡り逢えるまでは……側に居てやりたかったけど。それは多分……叶わねぇ)

 血が滲むほど唇を噛み締め、とめどなく溢れる涙を仮面に隠して。彼はまるで血の通っていない鉄人のように、次の戦場を目指して走り続けている。自身の死を予感しているからこそ、彼は進み続けるしかなかったのだ。

(だけど……それでもな。どれだけ離れ離れになったとしても……エメラダ、お前のことは心から愛している。お前の幸せを……天国のママと一緒に、いつまでも祈ってる。だから……必ず生き抜いてくれ。例えこの先、どんなことが起きてもだ……!)

 一度でも立ち止まってしまったら、もう前には――仲間達のところには進めなくなってしまう。だからこそコンラッド・リンネアは止まることなく、スパルタンハリケーンを走らせていた。例えこれが、愛娘との今生の別れになるのだとしても。
 
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