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オズのヘンリーおじさん

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第五幕その二

「何もかもにね」
「オズの国の」
「色だけじゃなくて」
「お伽の国だから、けれど何度も行き来して」
「遂に定住してか」
「それでなのね」
「今じゃもうすっかりよ」
 笑顔で言うのでした。
「オズの国の住人よ」
「というかドロシーがいなくて」
 それでと言うオズマでした。
「オズの国は語れないわ」
「貴女でないの?」
「だって貴女がオズの国に来てくれたから」
 それでというのです。
「オズの国のことが外の世界にも伝わったから」
「だからなの」
「本当にね」
「私があってなの」
「オズの国は語れるのよ」
「そうなのね」
「そして貴女がいたから」
 オズマは微笑んでさらに言いました。
「ヘンリーさんとエマさんもね」
「オズの国に来られたの」
「そして幸せに暮らせているのよ」 
 そうだというのです。
「本当にね」
「そうなのね」
「その通りだよ」 
 おじさんが言ってきました。
「ドロシーがいてくれたからだよ」
「今私達は幸せなのよ」
「しかも長生き出来ているしな」
「この国でね」
「そうそう、オズの国は皆不老不死だからね」 
 トトも言ってきました。
「僕達も外の世界だとだよ」
「とっくの昔にな」
「いなくなっていたわ」
「そうだったんだよね」
 おじさんとおばさんに答えました。
「本当は」
「そうね、若しね」 
 ドロシーは自分の足下を歩いているトトに応えました。
「私達がずっと外の世界にいたら」
「そうだったならね」
「私達はとっくの昔によ」
「いなくなっていたね」
「そうだったわ」
「そうした意味でもだよ」
「オズの国に来てよかったわね」 
 ドロシーはしみじみとして言いました。
「本当に」
「そうだね、それでね」
「それで?」
「一つ思うことはね」 
 トトはドロシーに言いました。
「この森はどんな森だったかな」
「確か狼の森よ」
「ああ、そうなんだ」
「その名前の通りね」
「狼さん達がいるんだ」
「そうなの」 
 こうトトにお話します。
「この森はね」
「いや、狼って聞いたら」 
 ハンクが言ってきました。
「昔はね」
「貴方は怖がったわね」
「うん、外の世界にいたら」
「そうよね、けれど私達がいたらね」
 ベッツイは穏やかな声でお話しました。 
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