わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
13-6-1
敦賀へ出立の朝。今年は、泉希のお母さんは、来ないと言うことだったので、駅で泉希と璃々と待ち合わせをしていて。璃々は白の綿生地でノースリーブで肩のところがヒラヒラしたワンピースに麦藁カンカン帽、バスケットを下げて現れた。私が、泉希から誘ってと頼んだのだ。その方があの子はきっと行くってゆうからと・・・璃々を誘った時、しばらくの間があって 行くよ 誘ってくれてありがとうという返事だったと泉希から聞いたのだ。
次の駅からすみれと道弘、励が合流していた。私達女の子は申し合わせて、それぞれのサマーワンピースにしていた。去年と同じようにバスから海が見えて来ると私がはしゃぎ出してたけど、あんまり他にお客さんが居なかったので、泉希も小言を言わなかった。バスを待っている間にも、励は私達女の子の写真をいっぱい撮ってくれていた。
「あのさー こんな可愛い娘達の写真なんか なかなか撮れないんだよー」と、彼にしては精一杯のお世辞のつもりなんだろうな。
向こうのおばあさんに挨拶を済ませて、お昼を食べた後、水着に着替えるので、泉希が全部脱いだ後
「お前等 覗くんじゃぁないぞー」と、隣の部屋に声を掛けていた。隣との仕切りは木製の襖だけなのだ。とりあえず敷居には木切れが差し込んであってズレないようにはなっているんだけどー。浜辺に行くときには、すみれが励に
「水着のとこは 撮っちゃぁダメだよ!」って釘を刺されていて
「あぁ カメラは潮風にあてられないから このデジカメにした」
「それも ダメ! 写真禁止だから 置いていきなさい!」と、すみれは珍しく厳しい言い方だった。励は渋々置きに行っていたのだ。
浜辺に着くと、直ぐに私は璃々を誘って沖のほうに泳ぎ出して
「なぁ 水 きれいやろー 脚先まで見えるもん」と、振り返って璃々に
「そーだね こんなきれいなとこあるんやー ウチ 日本海側に来たのって初めてなんやー」
道弘が私達を追って来ていて、近くに来た時、私は
「道弘 追いかけてきたんか あのな ふざけて、みゅうみゅんに触るんはええけど、璃々には絶対にあかんでー それと、君はウチ等の後ろやなくって、必ず前で泳ぐんやでー 破ったら、蹴り入れるからなー わかったぁー」
「わかったよー 厳しいのぉー みゅうみゅんやったら触ってもええんか?」
「アホッ そーゆう意味ちゃうわー ええから 先に行け! あそこの岩場までな」
「えぇー あんなとこ 危ないんちゃうんか?」
「まぁ 近寄るとなー だから 君が先頭なんよ!」
「クッ みゅうみゅんでなかったら 襲い掛かってるでー」と、言いながらも道弘は岩場に向かって泳ぎ出したのだ。私と璃々も後に続いて、岩場の近くに着いて
「みゅうみゅんは潜ってみるから 安全な岩ででも待ってて」と、潜って岩の周りとかを探したけど、目ざといものが無かったのだ。海藻なんかも去年より少なくなっていた。
「あかんわー フグとかアジかなぁ 小さいのが居るだけ」
「えー それでも 魚が見えるんだー ウチも潜ってみるよ 連れてってー」と、璃々が意外にも・・・
その後、3人で潜って、小魚を確認して、私が浮き上がる指示をして・・・先に私が顔を出したんだけど、少しの間があいてから・・・気のせいか 道弘が璃々の手を引いているようにして顔を出していた。
岸に戻ると、泉希等3人は砂遊びをしていて
「あっ 冒険は終わったカナ 今年も収穫は無しかー」
「そーなんよー 泉希 海藻が減ったみたい」
「だろうね 近場はね もっと 先っぽにいくと違うんだろうけどー だから、鮑もサザエも居ないよ みゅん 絶対に、もっと先に行こうなんて思わないでよー」
「うん みゅうみゅんだって ここからは危険ってことぐらい わかるよ」
「みゅんは その危険の範囲が怪しいんだよ!」
「わかった わかった 待ってよ 眼を洗わなきゃーね」と、私は持ってきたペットボトルで璃々と道弘の眼を洗い流していたら
「もぉー 帰ってきたんだし みんなでビーチボールしょー」と、すみれが言い出して、みんなで始めたんだけど、そのうち3対3に別れて勝負していた。道弘、すみれ、璃々の組だったんだけど、璃々は自然と道弘にも接していたのだ。そして、宿に帰る時も小川沿いの坂道を少し登るんだけど、励も自然と璃々の手を引いてエスコートしていたのだ。私には、おとなしく手を引いてもらっている璃々のことが不思議だった。
夕食には、漁師の手伝いをしているという泉希の叔父さんが、朝捕れたふくらぎとイカとかの刺身とキスの天ぷらが出て、食事の後は、近くの小さな突堤があると言うのでみんなで散歩に出掛けた。後ろのほうから歩いて来る道弘とすみれは時々、手を繋いでいるみたいだった。だから、みんなより少し遅れて歩いているのかー。突堤では、まだ釣りをしているひとが何人か居て、泉希がアジとか珠にふくらぎが釣れるんだよって言っていた。それと、昔はあっちの砂浜に出ると夜光虫も居たと話をしてくれていた。
そして、戻って来てからは、みんなで手持ち花火をしたのだけど、その時は励がみんなの花火に火をつけて手渡ししていたり、虫が寄ってくるのをウチワで扇いで防いでいたりして細々と動いていた。みんなの姿を写真も撮っていて、それを見せていて
「ほらっ 自然な笑顔が出て、いい写真だよ 写真は素顔が映るんだよ きれいだ」と・・・璃々にも見せていて、璃々も顔を寄せて、抵抗もなく受け入れていたのだ。だんだんと、この二人には気を許しているみたいなのだ。
ページ上へ戻る