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オズのヘンリーおじさん

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第二幕その十二

「他の香辛料も」
「そうですね」
「おじさんとおばさんが胡椒を使ってるって言ったけれど」  
 それでもというのです。
「あまりね」
「使っていなくて」
「それで使っている香辛料は」
「胡椒位ですか」
「他の香辛料はこれといって」
「使ってなかったんですね」
「オイルもあまりね」
 こちらもというのです。
「使っていなかったわ」
「オリーブオイルをこんなに使うことは」
 恵梨香はマリネやカルパッチョそれにアクアパッツァに使われているこのオイルを見ながらドロシーに尋ねました。
「やっぱり」
「というかオリーブオイル自体がね」
「なかったんですね」
「そうよ」
 これがというのです。
「なかったから」
「それは寂しいですね」
「だから今の私達の食生活は」
「凄く贅沢ですか」
「そうなったわ、ただね」
「ヘンリーさんとエマさんは」
「質素なままなの」
「香辛料やオイルも」
「お砂糖だって」
 こちらもというのです。
「昔は殆どで今はね」
「もっとですね」
「私はお砂糖を使ったお料理もお菓子もね」
「召し上がられてますね」
「ケーキだって」
 デザートのそれも見ます。
「お砂糖をふんだんに使ってるわね」
「そうですね」
「果物は交易で手に入れてお菓子もたまにで」
「召し上がることは」
「今言った通りね」
「稀だったんですね」
「そうだったのよ」
 カンサスにいた時はというのです。
「本当にね」
「それはドロシーさんが竜巻に乗って」
「そう、その時のお話にも書いてあったわね」
「最初のお話で」
「その最初にね、カンサスでの暮らしは」
 それはというのです。
「そんな風だったのよ」
「今とは全く違ったんですね」
「食生活もね、ガスも電気も水道もなくて」
 そしてというのです。
「パソコンも携帯電話もね」
「なくて」
「今とは全く違うわ、おじさんとおばさんもね」
 お二人もというのです。
「かつてはそうした暮らしで」
「今もそうした風にですか」
「暮らしているふしがあるわ」
「そうなんですね」
「質素だから。流石にパソコンや携帯電話は持っているけれど」
「テレビとかもですね」
「お家にはガスも電気も水道も通っていてね」
 そうなっていてというのです。
「今のオズの国の暮らしだけれど」
「それでもですね」
「そう、昔の生活がまだ残っていて」
「食べものも」
「昔のままなところがね」
 カンサスにいた頃のというのです。
「残ってるわね」
「そうですか」
「だからこそ」
「お二人にですね」
「美味しい魚介類を堪能して欲しいのよ」
 こう恵梨香に言うのでした。
「今の私達みたいにね」
「そういうことですね」
「そうよ、じゃあまずは二人のお家に行きましょう」
 魚介類と一緒にアルコールのない子供用の白ワインも飲みます、そうしてそちらも楽しみながらでした。
 ドロシーは言います、お二人に是非にと。 
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