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博士の挑戦状

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第百十七話

                 第百十七話  神戸に戻って
 博士は動物園を出てすぐに見掛けた半グレ三人を殺してから小田切君達をUFOに乗せて飛んで神戸に帰った。
 そして紅茶を飲みつつ言った。
「戦争があってもな」
「関係ない人や生きものは巻き込むな、ですね」
「そうじゃ」
 こう言うのだった。
「そのことはな」
「博士としてはですね」
「何としてもな」
「守ることですね」
「わしの美学じゃ、美学はじゃ」
 これはというのだ。
「何があってもな」
「守ることですね」
「そうじゃ」
 こう言うのだった。
「やはりな」
「美学は絶対のものですね」
「何度も言うがマッドサイエンティストや法律や常識なぞはな」
 こうしたものはというのだ。
「一切じゃ」
「無視しますね」
「そんなものはどうでもいい」
 それこそというのだ。
「研究や開発の縛りじゃ」
「それに過ぎないですね」
「そうじゃ、しかしな」 
 それでもというのだ。
「美学は違う、美学は信念でありじゃ」
「行動規範ですね」
「これなくしてはじゃ」
「マッドサイエンティストではない」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「だからじゃ」
「博士にしてもですね」
「それは守る」
 絶対にというのだ。
「それでわしは関係ない者を巻き込まぬのがじゃ」
「美学であって」
「犠牲が出ることはあるとわかっていてもな」
 それでもというのだ。
「やはりじゃ」
「残念ですか」
「非常にな。戦争でな」
「天王寺動物園で犠牲になった生きもの達がいたことは」
「決して忘れぬ」
 こう言ってお茶を飲むのだった、そのお茶は美味いが苦くもあった。だが画家背はそのお茶を飲み切ったのだった。


第百十七話   完


                  2023・11・26 
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