イベリス
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第百三十二話 イベリスその八
「痛いかも知れないし」
「木にとっては」
「だからね」
「果物もなのね」
「これを食べても」
「やっぱり命を頂いてるのね」
「結局生きてるなら」
そうである限りというのだ。
「食べるから」
「命を頂くわね」
「そして命を頂くなら」
そうであるならというのだ。
「その分ね」
「一生懸命生きないとね」
「そう、そうでないとね」
「頂いた命に申し訳ないわね」
「少なくとも自分の生を全うする」
最後の最後までというのだ。
「そうしないとね」
「駄目ね」
「そう思うわ」
こう咲に話した。94
「私はね」
「そう言われるとね」
「咲ちゃんも思う?」
「ええ」
そうだと答えたのだった。
「私もね」
「だったらね」
「最後の最後まで生きる」
「自暴自棄にならずにね」
「どんな状況でも」
「そうしていこう、これからも色々あるけれど」
人生はというのだ。
「けれどね」
「それでもよね」
「そう、ちゃんとね」
まさにというのだ。
「生きるのよ」
「そうすることね」
「そうよ」
「それじゃあね」
「最後までね」
まさにというのだ。
「お互い生きましょう」
「お姉ちゃんもなのね」
「当たり前よ、生きているからいいことがあるのよ」
「いい思いが出来るのね」
「悪いことがあっても」
それでもというのだ。
「いいことはもっとね」
「あるのね」
「それで死んだ時に笑顔だと」
それならというのだ。
「いいでしょ、それで周りの人が泣いてくれてたら」
「自分は笑って」
「もうね」
それならというのだ。
「その人生は最高だってことよ」
「自分が泣いて周りが笑ってくれてたら」
「それならね」
「じゃあそうなる様に」
「生きていってね」
「そうするわね」
「私もね、じゃあこれからお昼は」
愛はあらためてこちらの話をした。
「やっぱりね」
「この植物園で食べるのね」
「そうする?咲ちゃんお野菜食べられれるわね」
「嫌いなお野菜ないわ」
咲はすぐに答えた。
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